2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J07985
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福田 森彦 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超分子 / らせん / インターロック / 金属錯体 / ペプチド |
Research Abstract |
1.イミノ化による二座架配位子の巻き方向制御-及びこの配位子と金属イオンとの自己集合挙動についての検討 二座架橋配位子L_<hyd>は、Pdイオンと自己集合することで、四重鎖ヘリケート、またそのインターロック型二量体を与える。これらは世界的に見ても稀少な構造である。しかしながら、構成物である架橋配位子の軸性キラリティが素早く反転するため、この超分子構造はラセミ体として存在する。この巻き方向を制御すべく、L_<hyd>の中央部にキラルなアミノ酸をイミノ化反応により導入した。この結果、得られた新規配位子は一方の捩れ方向を優先することが確認された。この配位子を用いて超分子形成を試みたところ、一方の捩れ方向に偏った四重鎖ヘリケートが得られたことが示唆された。構成物の性質のみを変え、これを高次構造(超分子)まで伝えた点にこの研究の面白さがあると言える。 2.らせん型ペプチドの巻き方向制御 らせん構造をとるペプチドは、非共有的な相互作用により構造が作られる点で、超分子構造の一種であると見做し得る。本研究では、超分子らせん構造制御の実現に向け、構造の予測が容易なペプチドを用いて「らせん構造の巻き方向制御」を試みた。当研究室の先行研究で用いられていたアキラルな(右巻・左巻を等価にとる)ペプチド8量体を参考にし、主鎖の中央部位にD-アラニンを1残基を組み込み、側鎖にL-システインを2残基導入したpep-2を用意した。この場合、主鎖と側鎖のキラル源が競合し、らせん本体に近い主鎖のキラリティが強く影響する。一方で、pep-2の側鎖間を架橋し、構造に制限を加えたところ、巻き方向が反転したことが確認された。ペプチドのような生体環境に近い物質を用い、らせんの巻き方向を反転させることに成功したのはこれが初めてのケースであった。
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Research Products
(3 results)