2009 Fiscal Year Annual Research Report
多孔性配位高分子へのリチウム導入による新規水素貯蔵材料の創製
Project/Area Number |
09J08007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久保 優 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 水素貯蔵材料 / 多孔性配位高分子 / リチウム担持 |
Research Abstract |
修士の研究において多孔性材料に塩化リチウムをエタノールを用いて含浸し、熱処理を行うと、塩化エチルとして塩素が脱離し、Liのみをシリカ表面に担持され、水素吸着量が増加することを見出した。この結果より、Li塩を多孔性材料に含浸し、何らかの処理を行うことでアニオン種のみを脱離させれば、多孔性材料にLiのみを担持することが可能であると考えた。 本研究では金属イオンと有機配位子によって構成された多孔性配位高分子(PCPs)に着目した。PCPとしてアルミニウムとテレフタル酸で構成された、MIL-53(Al)について着目した。このPCPは耐熱性が非常に高いため、450℃までの熱処理が可能である。これにLi塩を含浸し熱処理を行うことで水素貯蔵量の増加を試みた。 MIL-53(Al)はBASF社から販売されている物を用いた。Li塩はLiNO3を用いて検討した。溶媒にはエタノールを用いた。200℃で真空乾燥をしたMIL-53(Al)を各Li塩/エタノール溶液に加え、1晩室温下で攪拌し、濾過、洗浄後、LiNO3-MIL-53(Al)を得た。この真空下300℃で熱処理を行いLi-MIL-53(Al)を得た。脱離種の定性にTG-DTA-MS、in situ FT-IRを、水素吸着量、表面積は吸着測定を、細孔中のLiの状態を固体NMRを用いて分析した。 熱処理過程においてNO3-が分解し、NOとN2Oが脱離したことを確認した。また、固体NMRよりLiが細孔内に存在していることが分かり、LiはMIL-53(Al)の骨格中のアルミニウムとカルボキシル基との結合を切り、カルボキシル基の酸素原子に配位しているのではないかと考えられる。また、77K、87K下760torrで行った水素吸着測定より未担持のMIL-53(Al)は1.63wt%からLiを担持したものは1.75wt%に増加した。水素吸着熱をClausius-Clapeyron式から計算したところ、どちらのものも7.0kJ/molと変化がほとんど見られなかった。
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