2010 Fiscal Year Annual Research Report
多孔性配位高分子へのリチウム導入による新規水素貯蔵材料の創製
Project/Area Number |
09J08007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久保 優 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 水素貯蔵材料 / 多孔性配位高分子 / リチウム担持 |
Research Abstract |
本研究では金属イオンと有機配位子によって構成された多孔性配位高分子(PCPs)での水素貯蔵に着目した。PCPは非常に高い表面積、細孔容量を有しており、水素貯蔵材料として注目されている。この水素貯蔵能を増加させるため細孔中へLiの担持を行い、水素との相互作用を高めることを目標とした。 昨年度までにMIL-53 (Al)というPCPに硝酸リチウムを含浸し熱処理を行うことでLiを担持し水素吸着量の増加を確認した。またLiの状態について詳細に検討した。当該年度においては担持したLiの量が水素吸着量にどのような影響を与えるかを検討した。 Liが担持されることで水素吸着量が1.66wt%から1.84wt%に増加することが確認された。また単位面積当たりの吸着量は5.23から5.90 molecule/nm2に増加した。この値はLi原子1つが2つの水素分子を吸着していることを示す。しかし吸着熱には変化が見られなかった。これはLiは細孔コーナーに位置するカルボキシル基に配位しており、細孔壁に挟まれているため、Liの水素への相互作用がほとんど働かなかったと考えられる。また担持したLiの量が少ない時ではLi量に比例して単位面積当たりの吸着量は増加する。一方Li量が高くなると一定の値を示す。これはLiの量が多くなり細孔中で凝集してしまい、吸着サイトとして働かなくなるのではないかと考えられる。他のアルカリの硝酸塩を用いて同様に実験を行ったところ、Liと同様に水素吸着量が増加した。 さらに他のPCPsに対しても検討を行った。具体的には亜鉛とテレフタル酸によって構成されたMOF-5というPCPsを用いた。これに対して同手法を用いると同時に、骨格であるテレフタル酸の一部をイオン交換サイト(OH基)を有する2,5-dihydroxybenzenecarboxylateに変え、さらにLiが担持できるような材料(MOF-5-OH)の合成を試みた。 得られたMOF-5-OHは既報と同程度の水素吸着量を示した。そこにLiを担持することで水素吸着量、吸着熱が増加した。最も増加率が高かった試料は1.25倍の増加を示した。
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