2009 Fiscal Year Annual Research Report
ラテンアメリカ諸国における『法の支配』の測定とその決定要因
Project/Area Number |
09J08010
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
豊田 紳 Waseda University, 政治学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 選挙紛争 / 選挙裁判所 / メキシコ / 民主化 |
Research Abstract |
選挙による公職者の交代は、民主主義の基本的要件である。しかし同時に、選挙は権力を保持しようとする現職者/現職者支持者と、野党候補/野党支持者との間に深刻な対立をもたらしうる。実際、メキシコにおいて1990年代に本格化した自由選挙は各地で深刻な政治対立をもたらした。コスタリカ1948年大統領選挙は内戦の端緒となったし、中米諸国では選挙後の紛争で多くの死者が出ている。地域をまたいでアフリカに目をやれば、2007年ケニア大統領選挙後の政治混乱は記憶に新しい。平成21年度はこのような観点から、選挙の実施と深刻な政治動乱の発生がじっさいに関係しているかどうかを明らかにすることに力点をおいた。具体的には、選挙と政治動乱についての独自のデータセットを構築し、統計分析を行った。このデータセットは、1960年から1990年までの間にラテンアメリカ諸国を含む世界各国で実施された「選挙」と「クーデター」を月次レベルでデータ化したものである。このデータセットに基づく統計分析の結果から、実際に選挙が実施された月およびその前後一ヶ月間にクーデターの発生確率が有意に上昇することが明らかになった。当該研究成果は2009年7月にチリ・サンティアゴで実施されたInternational Political Science Associationで発表した。この研究は、選挙結果を裁定する独立した司法権力の存在が、安定した政治運営にとって決定的に重要であることを示唆している。独立した選挙裁判所が設置され、有効に機能し始めたメキシコおいては、2000年代を境に選挙後紛争の発生はまれな現象となった。次なる課題は、このように現職者が選挙結果の決定権力を裁判所の委託する条件とは何か、である。本年度はメキシコを事例としてこの課題を追求する。
|
Research Products
(1 results)