2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J08014
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
岡本 丈典 国立天文台, ひので科学プロジェクト, 特別研究員PD
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Keywords | スピキュール / 進行波 / プロミネンス / コロナ磁場 / 太陽観測衛星ひので |
Research Abstract |
今年度は、アメリカ・カリフォルニア州パロアルトのロッキードマーティン太陽天体物理学研究所に約1年間滞在し、研究を遂行した。ロッキードマーティンが開発・打ち上げを主導し、観測が始まったばかりのSolar Dynamics Observatory (SDO)の観測データからプロミネンスを多数チェックし、「ひので」のデータを併用した解析方法について滞在先の研究者らと検討した。その結果、いずれの観測機器のデータを扱うにしても、画像内からの微細構造の正確な分離が必要不可欠であると判断し、そのための解析技術を磨くことに傾注した。この際、プロミネンスと類似した微細構造を持つが、磁場構造が容易に把握できるスピキュールをテストに用いて、汎用に耐えうる微細構造検出プログラムの開発を行った。その結果、画像内から微細構造の分離に成功、そしてスピキュールやプロミネンスを伝播する進行波を検出することができた。特に、スピキュール上の波動からは以下の事実が明らかとなった。(1)観測された波動のうち、60%が上昇する進行波、20%が下降する進行波、20%が500km/s以上の定在波であった。(2)進行波同士の重なり合いにより、定在波が形成された現場を捉えた。(3)高度とともに加速する進行波を観測した。(4)高度の違いやスピキュールの時間発展に伴う位相速度の統計的分布から、遷移層の位置を推測できた。以上より、微細構造の観測から、コロナの磁場強度や密度構造の情報を得られることを示した。コロナ磁場の性質を知る上で、より定量的なプロミネンスやスピキュールの観測・解析が今後必要である。
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