2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J08032
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大清水 薫 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 有機薄膜太陽電池 / GRIM重合 / ポリチオフェン / ブロック共重合体 / HOMO/LUMO |
Research Abstract |
平成21年度の報告書に、ピリジニル基を有するポリチオフェン(P3PyT)を報告している。ピリジニル基を導入した利点は3つある。チオフェン環の3位に直接、電子吸引性基であるピリジニル基を導入することで、チオフェンの電子密度を低下させ、低HOMO値のポリマーが期待できること。芳香環を直接チオフェン環に導入することで、共役長を伸ばし、エネルギーバンドギャップ(Eg)を狭くできること。さらに、ピリジニル基はフラーレン誘導体であるPCBMと電荷移動錯体を形成し、相互作用を示すこと。以上の3点から、有機薄膜太陽電池の光電変換効率向上に理想的なポリチオフェンだと言える。実際、P3PyTのHOMO値およびEgを測定すると、一般的なp型半導体であるポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)よりも、0.45eV低いHOMO値および0.07eV狭いEgを達成できた。さらに、P3HTとP3PyTのブロック共重合体を合成し、PCBMと混合し有機薄膜太陽電池特性を評価した。その結果、P3PyTとPCBMの相互作用およびブロック共重合体のミクロ相分離構造が影響し、太陽電池特性の重要なパラメーターである短絡電流を向上させることに成功した。しかしながら、P3PyTの溶解性を向上させるため、長い側鎖(絶縁性部位)を導入したため、光電変換効率はP3HT/PCBM系とほぼ同程度の値を示すものとなった。更なる光電変換効率向上のためには、絶縁性部位を極力減らす必要がある。以上のことから、ピリジニル基を含む全共役系ブロックコポリチオフェンは、ミクロ相分離構造による電荷のチャンネル形成およびPCBMとの相互作用から、有機薄膜太陽電池特性に対して効果的であることがわかった。
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Research Products
(3 results)