2009 Fiscal Year Annual Research Report
神経回路形成に機能するシナプス前後細胞間認識の分子機構
Project/Area Number |
09J08033
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉江 淳 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 神経発生 / ショウジョウバエ / nephrin / NEPH1ホモログ / 細胞接着 |
Research Abstract |
脳の高次機能を司る中枢神経系は複雑かつ精密な神経回路から成る。神経回路が形成されるためには、その基本単位であるシナプス前神経細胞とシナプス後神経細胞が正確な場所と時期にマッチングする必要がある。しかし、シナプス前後細胞が決められた場所でお互いを認識し、正しく結合していく分子機構について未知な点を多く残す。このように高度な神経回路形成に必要な分子機構を解明するために、ショウジョウバエの一次視覚系神経節であるラミナの形成に着目した。本研究では、ラミナ神経細胞が視神経軸索に会合する過程においてSim制御下で働く実行因子を特定し、シナプス後神経細胞がシナプス前神経軸索と相互作用して正確な神経ネットワークを構築する分子メカニズムを解明することを目的とした。そのために、野生型とsim変異体のラミナを用いてマイクロアレイによる網羅的な遺伝子発現プロファイルの比較を行った。スクリーニングと解析の結果、脊椎動物のNephrinホモログである細胞接着因子、Hibris(Hbs)がラミナ神経細胞で機能することが明らかになった。ラミナ神経細胞で発現するHbsは、視神経軸索で発現するパートナー分子と結合する事で働いていると考えられたため、ショウジョウバエのNephrinホモログ、NEPH1ホモログを解析した。これらの結果から、視神経で働く因子としてNEPH1ホモログであるRoughest(Rst)を同定した。Rstはラミナ神経細胞のHbsと直接相互作用することで、ラミナ神経細胞の会合に寄与していることが考えられる。本研究から、ショウジョウバエの視覚系中枢において、シナプス前後細胞の正確な位置関係が形成される際の細胞間コミュニケーションにNephrin/NEPH1ホモログの細胞接着が関与する事が示された。
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Research Products
(2 results)