2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J08079
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
グブラー P 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ハドロン物理学 / QCD和則 / 最大エントロピー法 / 有限温度 / チャームにウム |
Research Abstract |
QCD和則はハドロンの性質をQCDから解析的に調べることのできる強力な手法です。ただし、QCD和則の結果を解析するときに、従来はスペクトル関数が"極+連続状態"の形を持っているという仮定をおく必要があり、スペクトル関数がこのような形をしていないときはQCD和則を使うことができませんし、場合によってはスペクトル関数に極がなくても、極があるように見えることもあり、誤った結論につながる可能性があります。QCD和則のこのような技術的な問題を解決するために、最大エントロピー法を用いた新しい解析手法を開発しました。最大エントロピー法の利点は、スペクトル関数については何の仮定もおかずに、解析できることです。この新しい解析手法をρメソンに対して適用し、その解析で得られた結果を一つの論文やいくつかの国内外の会議で発表しました。 さらに、この手法を有限温度におけるチャーモニウムの解析に応用し、チャーモニウムの様々な量子数を持つ状態がどの温度で溶けるかを調べました。その解析の結果として、格子QCDで予測されている温度よりも低い温度でチャーモニウムが溶けることが分かりました。このような理論的な予測は以前のQCD和則の解析方法では不可能でしたが、最大エントロピー法を用いた新解析手法で初めて実行ことができました。これからは、この手法の応用範囲をさらに広げ、ボットミウムや三つのクォークからなる核子などのバリオンに対しても適用する予定です。
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Research Products
(6 results)