2010 Fiscal Year Annual Research Report
遺跡出土木製品の年輪炭素14と同位体元素からの自然環境因子による縄文海進期の探索
Project/Area Number |
09J08134
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
佐藤 太一 山形大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 炭素14年代 / 縄文海進期 / 出雲崎海底 / 押出遺跡 / 古木試料 / 上山年輪試料 / 安定同位体 |
Research Abstract |
本研究は、縄文海進期における自然環境から出土した古木中C14濃度を用いて調べることを目的としている。本年度は、縄文海進期にあったと考えられている新潟沖の海底堆積樹木の測定個数を増し全部で23個のC14年代が得られた。この結果と他機関の測定結果13個と合わせた年代分布は、縄文海進期(7000yrBP)に海底推積が始まり3000yrBPにピークになり、1000yrBPで分布が収まったことを示している。この研究結果は、縄文海進期を契機に中越、東北の環境変化があることを示している。 更に縄文海進期との比較として最終氷期の古木試料のC14測定とC14生成シミュレーションを太陽活動の関連で始めた。縄文海進期の最盛期である6000~7000yrBPの地磁気強度は現代の値の70%程の強度であったとされている。そこで我々は地磁気強度が弱いことによるC14濃度変動の影響を調べるため、地磁気強度が現代の40%程であった最終氷期である2万6千年前の古木年輪試料である上山年輪試料の単年輪測定を行っている。この地磁効果を考慮して、約2万6千年前の太陽11年周期変動に起因するC14生成率の変動についてエクセル用プログラムEXPACSを用いて見積もった。シミュレーション計算は、その太陽11年周期活動に伴う変動量が、現在が2.75^<14>C kg/yrに対して当時は4.97^<14>Ckg/yrとなり80.7%大きくなることを示している。従って、C14濃度変動がC14生成率の変動割合と同様だと仮定すると、現在のC14濃度変動が3~5‰にたいして、2万6千年前の太陽11年周期活動伴うC14濃度変動は5~9‰にまで大きくなると予測されることがわかった。このシミュレーションは、縄文海進期にも応用できる。
|
Research Products
(3 results)