2011 Fiscal Year Annual Research Report
遺跡出土木製品の年齢炭素14と同位体元素からの自然環境因子による縄文海進期の探索
Project/Area Number |
09J08134
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
佐藤 太一 山形大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 炭素14年代 / 縄文海進期 / 出雲崎海底 / 押出遺跡 / 古木試料 |
Research Abstract |
本研究は、縄文海進期(縄文前期)と思われる古木試料の年輪中^<14>C年代を高精度の物理的測定法により測定し、古代日本の環境変化を探索することを目的としている。2007年7月、新潟県中越地方出雲崎町の沖合海底下を震源として発生した中越沖地震により、出雲崎沖の海底に大量の古木が出土した。この古木試料は縄文海進期と関連している可能性があるため、その中から海底古木を採取し^<14>C年代測定を行い、年代分布を調べることで縄文海進期との関連を調べることを計画した。そこで、今年度までに38個体の^<14>C年代測定を行った。その結果、縄文海進が始まるBC 6000年ころから、海水準が現在の値に落ち着き始めるAC1000頃に分布していることがわかった。また、BC3000~AC1000年の間は海水準が低い時期に海底古木の実年代が多く分布し、全体の71%が分布していることがわかった。このことから、出雲崎沖から出土した海底古木は海水準の変動に関連していると考えられる。次に、測定した海底古木試料において樹種の同定を行ったところ、オニグルミやカエデ属など、山間・山地の川沿いや河原に生息する種類が多いことがわかった。これらの結果を受け、求めた倒木年代の間隔と実年代を調べ、年代に対する倒木発生頻度を調べた。倒木年代の間隔の平均値はBC 1800年以前と以後で、それぞれ206年及び137年で、BC 1800年以後に倒木年代の間隔は短くなっている事がわかった。BC 1800年以降は縄文海進期が終わり、海水準が低い時期である。このことから、倒木の事象間隔と海水準の変動に関連があることがわかった。一方、考古学試料として山形県押出遺跡の特徴的木材試料を選定し高精度C-14年代測定(誤差はC-14年代で約50年)を行った。その結果は実年代でBC4044~ BC3701で、およそ300年間の中に収まっていた。この時期は、縄文海進のピークから減衰するところに相当しており押出遺跡は縄文海進期の環境変化の影響を受けたことを示唆している。
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Research Products
(3 results)