2009 Fiscal Year Annual Research Report
視聴覚音声情報の時空間相互作用に関する認知科学的研究
Project/Area Number |
09J08191
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
浅川 香 Tohoku University, 大学院・情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 視聴覚音声 / 同時性知覚 / 正弦波音声 / 音声・非音声知覚 / 時間順序判断 |
Research Abstract |
本研究課題は,音声における視聴覚情報処理の時空間相互作用の解明を目的としており,時間的・空間的要因を操作した場合に,人の話す映像と音声を視聴する際の時間的なずれの知覚がどのような影響を受けるかを検討するものである。 この目的のために本年度は,視聴覚音声情報の時間的要因を操作し,視聴覚間の時間的なずれの知覚に関する検討を行った。特に,音声情報を視聴する際の人間の情報処理の特異性に着目し,視聴対象が音声情報の場合と,それ以外の非音声情報の場合で同時性知覚が異なるのか否かを検討した。 本研究では,刺激の物理的特性が同一であるが,刺激に対する経験や知識によって音声もしくは非音声であるという知覚が変わるとされる音刺激を用いた検討を行った。具体的には,正弦波音声と呼ばれる刺激を用いた。これは,自然音声のフォルマント周波数(共振周波数)に相当する周波数と振幅をもつ正弦波を複数合成した音である。非常に人工的な音であるため,初めて聞く聴取者の多くは非音声であると知覚するが,自然音声に由来した合成音声であると教示されると音声として知覚され,発話内容の聞き取りが可能となる,という刺激である。この音刺激と顔画像を様々な時間差で呈示し,画像と音のどちらが先に呈示されたかを実験参加者に判断させた。その際,音刺激が音声に由来するという教示を与える群と与えない群で,成績が異なるかを検討した。その結果,音声由来の音だという教示があった群のほうが,そうでない群よりも同時性知覚の成績が低い(つまり,視聴覚間の時間のずれに対して寛容である)という傾向があることが明らかになった。さらに,この傾向は,発話内容の弁別が困難である場合に比較的強く現れることもわかった。 上記のような一連の実験と並行し,研究課題のもう一つの軸である空間的要因に関する実験計画を練るという作業も進めた。
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Research Products
(4 results)