2009 Fiscal Year Annual Research Report
原子レベル分解能における構成型ヘムオキシゲナーゼの活性化機構解明
Project/Area Number |
09J08194
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
草間 周介 Tohoku University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 構成型ヘムオキシゲナーゼ / ヘム分解機構 / 活性化機構 / X線結晶構造解析 / 分子内ジスルフィド結合 / カルモジュリン結合型 / 結核菌由来ヘムオキシゲナーゼ / 共鳴ラマンスペクトル |
Research Abstract |
本研究の目的はヘムオキシゲナーゼのヘム分解機構と活性化機構解明である。はじめに、構成型ヘムオキシゲナーゼ(HO-2)の研究については活性型と不活性型の結晶構造を明らかにし、その両構造から原子レベル分解能でHO-2の活性化機構を解明する事を目的としている。活性状態である分子内ジスルフィ・ド結合を形成しているSS型HO-2の結晶化、2.0Å分解能での回折強度データ収集に成功した。分子置換法による位相決定、モデル構築を行ったが、HO-2独自の活性化機構に関与していると考えられる部位を含む、両末端領域の構造を決定する事ができなかった。そこで、短波長・多波長異常散乱法により位相の改善を行い、新たに構造解析を行った。結果、結晶構造の一部は改善したが、両末端の構造を決定する事はできず、HO-2の末端は非常に運動性が高いことが示唆された。そこで、今後、SS型HO-2と分子内ジスルフィド結合を形成していないSH型HO-2の新たな結晶化条件を探索すると同時に、もう一つの活性状態であるカルモジュリン結合型HO-2の結晶化を試みる予定である。次に結核菌由来のヘムオキシゲナーゼと考えられているMhuDの研究は、これまでに結晶構造のみが解明されているため、MhuDの溶液中での構造、また、そのヘム分解特性を解明する事を目的としている。現在までに、酸化型、還元型、一酸化炭素結合型ヘム複合体の共鳴ラマンスペクトル測定にも成功している。ヘム鉄周辺の微細構造として、アルカリ性では6配位高スピン状態と特徴的な構造をしていることが明らかとなっている。今後、酸素化型の共鳴ラマンスペクトル測定を行うと同時に、電子常磁性共鳴スペクトル測定を行う予定である。また、MhuDによるヘム分解生成物を分析し、一部の生成物の同定には成功している。今後、残る生成物についてもマススペクトルなどを用いて同定し、結核菌型ヘムオキシゲナーゼに特有の反応特性を解析する予定である。
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