2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J08205
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
柳村 裕 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 声調 / ラオ語 / 音声学 / 音韻論 |
Research Abstract |
ラオ語ビエンチャン方言の声調の音声変異に関する3種類の調査を行った。1つめの調査では、発話中の隣接する2声調うちの先行声調から後続声調に対する影響(順行効果)と、その逆の後続声調から先行声調に対する影響を比較し、順行効果による変異のほうが基本周波数(F0)の変異幅がより大きく、効果を及ぼす時間的範囲がより広いことを明らかにした。また、後続声調に生じる変異はそれに先行する声調に対して同化的な変異であるのに対し、先行声調に生じる変異はそれに後続する声調に対して異化的であった。以上の結果は、The Third International Conference on Lao Studiesでの口頭発表と、『松尾金蔵記念論文集 明日へ翔ぶ 2』およびJournal of Mekong Societiesに投稿した論文において報告している。2つめの調査では、音節構造の違いにより、ラオ語の上昇下降調のF0頂点と低点がどう変動するかを検討した。その結果、まずF0低点は、それを担う音節の構造にかかわらず、音節持続時間長の終端からほぼ一定の時間的距離に位置する、すなわち、音節の終端に同期しているとみられることを明らかにした。一方、F0頂点については、分節音列に対する同期点と見られる位置が話者によって異なるという、解釈がやや困難な結果が得られた。3つめの調査は、発話速度を操作することで声調が実現する音節の持続時間長を変化させることで、ラオ語声調のF0曲線の形状やF0屈曲点がどう変動するかを調査するものである。この調査は、初期調査の結果をもとに調査方法の設計を終え、母語話者からの資料の収集を開始した段階である。以上のうち、2つめと3つめについては、平成23年度も継続して調査を行う。
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Research Products
(2 results)