2009 Fiscal Year Annual Research Report
火山下の深部低周波地震とマグマ上昇の関係を解明する
Project/Area Number |
09J08208
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮林 佐和子 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | レシーバ関数解析 |
Research Abstract |
修士課程の時に、地下の地震波速度境界面を検出するのに優れた手法であるレシーバ関数解析に着目し、富士山下にどのような地震波速度境界面があり、その境界面がどのように分布しているかを推定した。今年度は、まず使用する観測点や解析する地震の数を増やして再解析を実施した。このことにより、前よりも明確なフィリピン海プレートの構造を得ることができた。しかし、上記の研究で得られた速度境界面が具体的に地下の何を表わしているかを解明するためには、速度境界面の形状だけではなく、地下の地震波の絶対速度構造を求めることが必要である。地下の地震波絶対速度構造を調べるためには、地震の震源と、観測点への到達時間を用いて、走時トモグラフィの手法で求めるのが一般的である。しかし、走時トモグラフィでは、解像度が悪く、ぼやっとした全体的な構造を得ることしかできない。そこで、今までの解析を応用して、レシーバ関数を用いてインバージョン解析を行い、富士山地下の地震波絶対速度構造を求めるということを考えた。しかし、従来のレシーバ関数のインバージョン解析では、波形を全体的に合わせるため、地下の地震波速度境界面を表わす顕著な振幅の情報を生かすことができない、などの問題点があり、レシーバ関数の特徴をいかした状態で解を決定することができない。よって、新たな手法の開発が必要であり、今年度はその開発にあたった。 まず、多数のパラメータを決めることができるモンテカルロ法に注目し、その手法を学んだ。その後、手法開発の第一段階として地下が、深くなるほど地震波速度が速くなる4層の単純な構造であるという仮定をして、グリッドサーチによって地震波絶対速度構造を求めるということを試した。テストケースでは、単純な構造を仮定しても、観測されるレシーバ関数を充分に再現することができた。また、この手法によって表層の浅い部分の細かい速度構造も検出できることがわかり、このことを学会で発表した。
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Research Products
(3 results)