2009 Fiscal Year Annual Research Report
分裂酵母における減数分裂前期核往復運動の分子制御機構の解明
Project/Area Number |
09J08236
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 生水 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 分裂酵母 / 減数分裂 / 微小管 / 細胞質ダイニン / ダイナクチン / ホーステール核運動 |
Research Abstract |
分裂酵母の減数分裂前期に見られる微小管依存的な核の往復運動(ホーステール核運動)を引き起こす分子機構について解析を行なった。ホーステール核運動は微小管モーター・細胞質ダイニンが細胞表層に繋留され、微小管を牽引する力によって引き起こされることが知られている。 本研究では、ダイニンの制御因子であるダイナクチン複合体の構成因子Arp1及びMug5タンパク質が、ダイニンの細胞表層への繋留に必須であることを見出した。蛍光タンパク質を用いて生細胞観察したところ、これらの遺伝子破壊株ではダイニンの細胞表層への繋留が損なわれていた。またこれらタンパク質は細胞表層で特異的にダイニンと共局在することが分かった。これらの局在は、ダイナクチンの微小管結合サブユニットSsm4タンパク質の局在とは異なっていた。以上の結果は、ダイニンの細胞表層への繋留に必須なダイナクチン複合体の会合が、細胞表層で特異的に制御されていることを示唆しており、ダイニン繋留機構の解明に繋がる重要な知見であると考えられる。 さらに、核の周期的な往復運動を引き起こす機構の解明を目指して、生細胞観察により測定した微小管ダイナミクスに基づく1次元の計算機シミュレーション・モデルを構築した。シミュレーションでは、微小管が細胞表層を押す力を考慮したモデルによって、生細胞に極めて近い結果が得られた。シミュレーションのパラメータを様々に変更することによって、細胞長が一定時間あたりの往復回数に影響を与えることが予測された。実際に生細胞観察において細胞長と往復回数に負の相関関係が見出された。同様にシミュレーション予測から着想を得て、染色体と微小管重合中心(SPB)が離れてしまうbqt1遺伝子破壊株を観察したところ、野生型よりも核の移動が速く、一定時間あたりの往復回数が多いことを発見した。シミュレーションと生細胞観察を交互に用いることで、新たな知見を導き出すことができた。
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Research Products
(3 results)