2010 Fiscal Year Annual Research Report
血管内高精細画像化を実現する超細径超音波プローブの開発
Project/Area Number |
09J08253
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
田邉 将之 首都大学東京, システムデザイン研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 超音波画像 / パルス圧縮 / 生体高調波画像化法 / 血管内超音波画像化法 |
Research Abstract |
本研究の目的は、チャープ信号を用いた高調波パルス圧縮技術のための画像化用振動子システムと、超小型モータを利用して、超高精細な血管画像化を可能とする極細超音波プローブの開発を行うことである。21年度には、直径0.3mmの超音波モータの製作に成功し、1mm以下という当初の目標を大幅に超えて達成した。また、複数の振動子を組み合わせたインライン送受信システムの製作を行った。しかし、送受信システムは実用化に向けていくつかの問題が残されていたため、送受信システムを用いずに信号処理によって高精細な画像化を行う分離統合法を提案した。22年度は、分離統合法の効率的な利用方法の検討および性能評価を行った。 分離統合法は、送信信号を複数に分割して別送信し、それぞれのエコーから高調波成分を抽出して統合することで、基本波成分と高調波成分の周波数領域における重なりの影響のない生体高調波画像化法(THI)が実現できる。有効性を評価するために非生体実験を行い、分離統合法の有無による生成画像の変化を調べたところ、分離統合法を適用しない場合には高調波の重なりによるアーティファクトが生成されたが、分離統合法を適用した場合にはアーティファクトが生成されず鮮明な画像を取得することができた。 また、周波数領域における重なりを回避させる従来法としてパルスインバージョン法(PI)がある。PI法は位相が180゜異なる二回の送信によるエコーを加算することで、基本波を抑圧し高調波を倍増させるが、対象物体の動きに弱いことが指摘されている。そこで、シミュレーションによる比較評価を行った結果、分離統合法は対象の動きに極めて頑健であり、高調波を適切に抽出できるのに対し、PI法では2回の送信の間のわずか0.0375μmの動きによって、高調波より60dB以上大きい基本波が消え残ることが確認でき、分離統合法の有効性を示すことができた。
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Research Products
(6 results)