2010 Fiscal Year Annual Research Report
神経系に病原性を持つトリレトロウイルスの発癌機序解明
Project/Area Number |
09J08297
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
越智 章仁 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | レトロウイルス / ニワトリ / 神経病原性 |
Research Abstract |
1)疫学調査 神経病原性トリレトロウイルスの出現経緯を明らかにするため,昭和初期から系統維持されている九州地方の日本鶏群およびドイツの在来鶏群でウイルス分離を試みた。その結果,九州地方の在来鶏群では既知の神経病厳正トリレトロウイルスと内因性トリレトロウイルスの組み替えウイルスが分離され,このウイルスの感染鶏の脳に神経膠腫や上衣肉芽など神経病原性トリレトロウイルス誘発性病変が認められた。 2)人工リコンビナントウイルスの作製 神経病原性トリレトロウイルスの病原性責任領域を明らかにするため,PCR法を応用して分子クローンを作製した。これまでに,fowlglioma-inducing virus(FGV)の分子クローンを作出し,現在これと非神経病原性ウイルスとのリコンビナントウイルスを作製している。 3)トランスジェニック鶏 トリレトロウイルスのゲノムの中で病原性に関わると言われているlong terminal repeat (LTR)をGFP上流に組み込んだカセットを導入したトランスジェニック鶏を作出した。現在,F1世代を用いた解析のために繁殖を行っている。 4)LTR領域のルシフェラーゼアッセイ LTRはプロモーター・エンハンサー機能を持つ。神経病原性レトロウイルスは癌遺伝子を持たないため,LTRが細胞性癌遺伝子の異常発現を誘発していることが病原性に関わると推察した。そこで神経膠細胞,線維芽細胞,リンパ球由来培養細胞を用いFGV LTRのプロモーター活性を検索した。
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