2009 Fiscal Year Annual Research Report
量子ドットにおける励起子ラビ振動と位相緩和機構の研究
Project/Area Number |
09J08326
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
鯨岡 真美子 Sophia University, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 量子ドット / 非線形分光法 / 四光波混合法 / ラビ振動 |
Research Abstract |
本研究の目的は、重ね合わせ状態の自在な制御に対応する「ラビ振動」の観測を、従来とは異なる新しい手法でより直接的に観測する事であった。これに対して(1)従来の方法で測定したラビ振動を理論的に説明、(2)新しい手法を実現するための実験系の構築、の2つの成果が挙げられる。 (1)新規の方法でラビ振動を測定する前に、従来の方法で測定したラビ振動を理論的に説明する必要があると考え解析を行った。本研究で観測されたラビ振動は理想的な単一2準位系モデルの計算からずれていた。そして集団であることの効果(遷移エネルギー・遷移双極子モーメント・励起電場強度のばらつき)だけを考慮した計算で、フィッティング変数を一切使うことなく、実験結果を非常によく再現することに成功した。つまり、我々の試料が、外界との大きな相互作用もない単純な2準位系の集団として見ることができる系であることを証明した。これは、ラビ振動の実時間測定を行う上でも非常に大きな特長となる。また、励起電場強度の空間分布を制御することで、マクロなラビ振動を積極的に制御できるという事を理論的・実験的にデモンストレーションすることにも成功した。 (2)従来の方法では励起子ラビ振動はすべてパルスエリアの変化を入射電場の強度を変化させることで実現してきた。しかしこの方法ではキャリア密度増大の効果を避けることができないという問題があった。そこでパルス幅を連続的に変えることによってパルスエリアを変化させる方法を提案し実験系を構築した。実時間測定を行う上で我々はパルス時間幅を連続的に変えることのできるパルスシェイパーを構築した。比較的スペクトルの広いフェムト秒パルスを回折格子によって空間的にスペクトル分解して特定のスペクトルのみ切り出して再び回折格子で元に戻す。この過程によってスペクトル幅(時間幅)を連続的に変化させることが可能になった。
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