2009 Fiscal Year Annual Research Report
IceCube実験の超高エネルギー宇宙ニュートリノ世界初観測が切り開く新たな物理
Project/Area Number |
09J08358
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小野 美緒 Chiba University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ニュートリノ / 高エネルギー / 宇宙線 / 天文学 |
Research Abstract |
IceCubeは、平成21年度に全体の75%の検出器を用いて観測が行われた。本補助金のサポートにより、本年度までに取得した観測データやシミュレーション結果の解析を進めた。以下に成果を要約する。 (1)平成21年度(75%検出器)の観測データの一部を衛星回線で転送し、基礎的なデータチェックを行い、正確なデータ取得と解析が現地でなされていることを確認した。 (2)平成21年度の観測と同条件で、観測信号のシミュレーションを行った。 (3)(1)および(2)で得た、約3000事象の観測データと約20万事象のシミュレーションを比較し、シミュレーションの改善点を検討した。その結果、将来的に個々の光検出器に依存した詳細な解析方法を用いるためには、バックグラウンドのシミュレーションを改善すべきであるという結論に至った。 (4)平成20年度(50%検出器)に取得した全観測データおよびシミュレーション結果を用いて、より信頼度の高い解析方法を研究した。この方法は、検出光子の幾何学的形状を定量化することでニュートリノ信号を識別ずる。今回は、新たな定量化方法をプログラムに追加し、信号同定の精度向上を目指した。 (5)新たな計算機システムの導入を検討した。本実験の解析精度を担う要因の一つとして、光検出器の周囲を覆う氷中の光伝播を正確に計算することが挙げられる。氷河の散乱長・減衰長モデルを較正するあたり、あらゆる座標・角度に放射されるチェレンコフ光の伝播を計算しなければならない。そこで、この膨大な計算をより高速に処理できる計算機システムの導入を検討した。今回試みたのは、アクセラレータボードを用いた計算機であるが、コード書き換えの必要性やコストパフォーマンスを考慮した結果、本年度の導入は見送った。
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Research Products
(1 results)