2010 Fiscal Year Annual Research Report
重力波を用いた原始ブラックホールの新しい検証方法の研究
Project/Area Number |
09J08381
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齊藤 遼 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 原始ブラックホール / 重力波 / 暗黒物質 / 初期密度揺らぎ |
Research Abstract |
原始ブラックホールはインフレーションなどの機構によって生み出された初期密度揺らぎが重力崩壊を起こすことによって宇宙初期に生成されたブラックホールである。原始ブラックホールの質量はその形成時期によって決まっており、いまだその起源がわかっていない暗黒物質や中間質量ブラックホールの起源であるとされている。前年度の研究では、原始ブラックホールを生成する初期密度揺らぎのスペクトルが非常に鋭いピークを持つとする単純化をした解析を行い、宇宙重力波干渉計やパルサータイミングの観測を用いて暗黒物質や中間質量ブラックホールの起源に迫ることができることを示した。今年度の研究では、この結果を初期密度揺らぎのスペクトルのピークが広い幅を持つ場合に拡張し、観測される重力波は振幅は小さくなるものの、依然として宇宙重力波干渉計などで観測可能なレベルであり、重力波が原始ブラックホールのよいプローブになることを示した。 また、原始ブラックホールによる宇宙線量の増幅機構に関する研究も行った。近年のPAMELA衛星の観測によって、予想を上回る量の宇宙線陽電子の飛来が報告されている。私はこの陽電子過剰が原始ブラックホールがWIMPと呼ばれる素粒子的暗黒物質を集積し、対消滅確率を増幅することによって説明可能であることを示した。さらに、この陽電子過剰を説明する原始ブラックホールがガンマ線の点源として観測可能かを調べ、WIMPの性質や原始ブラックホールの性質によっては将来の地上観測によって観測可能であることを示した。 さらに並行して、初期密度揺らぎのスペクトルに重いスカラー場の共鳴によって微細構造を与える研究も行い、スペクトルに含まれ得る初期宇宙の情報に関して調べた。
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Research Products
(8 results)