2010 Fiscal Year Annual Research Report
ダークバリオン探査に向けた高性能X線分光検出器の開発と観測的研究
Project/Area Number |
09J08405
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉武 宏 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(CD1)
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Keywords | X線検出器 / X線天文 / 高エネルギー宇宙物理 / 太陽風 / 星間空間 |
Research Abstract |
本年度は中高温銀河間物質の観測的な同定に向けて、まず前景成分となる銀河系由来の放射、特に時間変動を有して大きな不定性を生む太陽風と太陽圏内星間物質の電荷交換反応(Heliospheric Solar Wind Charge Exchange : H-SWCX)に伴う輝線放射の究明を試みた。そもそもH-SWCXはどの方向を向いても存在すると考えられる放射源である為、その確たる証拠が未だ掴めずにいる。そこで太陽活動状態の変化に伴うH-SWCXの時間変動性に着目し、昨年度からの研究に引き続き2006-2010年に行われたSuzaku衛星による特異な点源天体が存在しない方向の年内同一点観測を利用して、放射の究明を試みた。 スペクトル解析の結果、2006年に観測されたOVII輝線強度の最低値2.7LU(=counts/s/cm^2/str)に対して2010年では5.9LUを観測し、3σ以上に有意な強度変動を捉えた。これは地球大気由来のSWCXを除去した上で得られた結果であり、観測中に存在する定常的な太陽活動とも相関が無く、より遠方、より長期の放射成分に起因する変動であることが示唆された。更にこの結果とH-SWCXの放射シミュレーションの比較から、衛星の視線に迫る太陽風の圧縮構造(共回転相互作用領域)と太陽圏内の中性物質との星間空間中でのSWCX放射を仮定することで、2010年の約3LUの増光は説明可能な強度変動量であることが分かった。
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Research Products
(2 results)