2009 Fiscal Year Annual Research Report
視覚詩とデジタル詩における言語性と造形性の関係の記号論的分析
Project/Area Number |
09J08408
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水野 真紀子 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | メディア論 / 記号論 / 認知言語学 / 比較文学 / 国際研究者交流 / オーストリア;ドイツ;スイス |
Research Abstract |
1、日独具体詩の比較研究をまとめた論文は、アルファベットと漢字という異なる文字を用いる日本語とドイツ語の具体詩の成立背景と個々の作品を分析し、手法(言葉の意味と視覚的な構成の一致とずれなど)に認められる相違点と類似点を指摘するもので、ウィーン応用美術大学発行の論文集「UNI*VERS」に掲載された。アルファベットの具体詩を認知言語学の概念融合理諭によって分析した論文は、日本認知言語学会論文集第9巻に掲載された。 2、視覚詩作品の技法を類型し、使用される概念メタファーを分析するため、(1)パウル・クレーの作品「Einst dem Grau der Nacht enttaucht」において用いられている手法の詳細な記述(色彩、音声、構造とテクスト内容の一致など)と、(2)ハインツ・ガップマイヤーの作品約千点の構造の分類を行った。この分析は、2009年9月にスペインのアコルーニャで開催された第10回国際記号論学会で発表した。 3、20世紀以降の新しいテクスト表現とは、ダダイストの詩、具体詩、デジタルポエトリーなど、元来の意味での「文学」の形態に当てはまらないような言語表現のことで、用いられる手法に従って、作品を(1)インターメディアの作品、(2)アルゴリズムとしての作品、(3)コミュニケーション・エンターテイメントとしての作品、(4)メタ文学としての作品に分類し、それぞれの特徴を分析した。いずれの作品群においても、鑑賞者の積極的な関与が問題とされている。コミュニケーションとしての作品の一例として、2009年4月にウィーンで開催された「Amateure im Web 2.0 : Medien,Praktiken,Technologien(Web2.0におけるアマチュア:メディア、実践、技術)」という学際的会議において、日本の携帯小説について口頭発表を行った。
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Research Products
(4 results)