2009 Fiscal Year Annual Research Report
インド西部タール砂漠のビール社会における社会空間の変容―生計実践と信仰の連関から
Project/Area Number |
09J08409
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小西 公大 The University of Tokyo, 東洋文化研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | フィールドワーク / モダニティ / 社会変容 |
Research Abstract |
本研究の初年度に当たる本年度は、2年次、3年次に行われる比較的長期のフィールドワーク及び得られる資料の精査・データベース化、最終的な成果報告(学会発表、論文執筆および民族誌の執筆・出版)といった具体的な学術的営為に向けた準備段階として位置づけられる。すなわち、当研究領域に関連する書籍や資料の精読を通じた理論的枠組みの先鋭化、他研究者との交流・議論を通じた本研究の実践的手法の再検討、現地における資料収集のための様々なスキル(ヒンディー語・ラージャスターニー語など、現地において利用される言語の語学能力、映像資料の撮影能力、各種芸能や語り等を採録する録音技術など)の向上、フィールドワークや資料収集/整理、データベース化等を行うための機材購入などに力が注がれた。また、本研究は、周縁化されてきた場(タール沙漠エリアの周辺諸村落)に浸透し始めた近代化の波を、社会空間という切り口で明らかにしようとする試みであるため、主に「モダニティと社会変容」といった、人類学に留まらない他の学術領域においても、一般的に関心を集めてきた問題系を扱っている。そのため、学術領域を超えた議論の場を活用した、学際的な学術交流を積極的に行った。東京外国語大学のアジア・アフリカ言語文化研究所を主体とする、フィールド・サイエンスと人的ネットワークに関する研究を行うfieldnet構築委員会への参加や、新設された「現代民俗学研究会」への参加を通じた民俗学分野の研究者との交流、さらには南アジア学会及び関連機関の運営への積極的参加や関連する研究会での発表などが主な活動としてあげられる。 本年度の終了間際の期間(2月末~3月末)には、来年度以降に実施される本格的なフィールド調査を前提とした1ヶ月ほどの予備調査が行い、調査対象であるビール社会のインフォーマントたちとの関係維持のための交流はもとより、彼らを取り巻く社会・政治的状況の近年の変化を明らかにすることや、ビール社会の世界認識に大きな影響を与えている多様な儀礼・芸能を担う諸楽師集団との関係構築等が主な活動として行われた。
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Research Products
(6 results)