2010 Fiscal Year Annual Research Report
植物―微生物間相互作用におけるDNAメチル化を介した遺伝子発現制御機構の解明
Project/Area Number |
09J08518
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
市田 裕之 明治大学, 農学部, 特別研究員SPD
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Keywords | DNAメチル化 / 生物間相互作用 / 共生窒素固定 / ミヤコグサ / 根粒菌 |
Research Abstract |
本研究は農業的に重要な植物病原細菌および共生細菌の一種であるイネ白葉枯病菌とミヤコグサ根粒菌を対象とし,DNAメチル化を介して行われる植物-微生物間相互作用の制御機構を明らかにすることを目的とする。本年度はマメ科のモデル植物として国際協力の下で大規模なゲノム解析が進められているミヤコグサ(Lotus japonicus)およびタルウマゴヤシ(Medicago truncatula)に共生する根粒菌を対象に,DNAメチラーゼ遺伝子の発現時期特異性について検討した。まず,根粒菌ゲノム上のDNAメチラーゼ遺伝子をコードする領域にレポーター遺伝子と薬剤耐性マーカーからなるコンストラクトを相同組換えにより挿入することで,根粒菌のレポーター菌株を構築した。このレポーター菌株を宿主植物であるミヤコグサおよびタルウマゴヤシに接種し,得られた根粒を用いて発色基質による遺伝子発現解析を行った。その結果,有限型根粒を形成するミヤコグサにおいては接種後特定の時期に一過的にDNAメチラーゼ遺伝子の発現が誘導されることを明らかにした。一方,無限型根粒を形成するタルウマゴヤシにおいては,根粒中の特定の領域においてDNAメチラーゼ遺伝子が発現していることが示唆された。これらの結果は,根粒菌が有するDNAメチラーゼが植物-微生物間相互作用の確立や調節,維持などの機能に関与することを示唆している。今後,さらに定量性の高いアッセイ系を確立することで,より詳細な解析を進める予定である。
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