2009 Fiscal Year Annual Research Report
社会実験がサイレント層に与える影響を考慮した公共選択の費用削減可能性に関する研究
Project/Area Number |
09J08527
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
小嶋 文 Saitama University, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 地区交通計画 / 住民参加 / サイレント層 / 合意形成 |
Research Abstract |
「社会実験がサイレント層に及ぼす影響を考慮した場合、公共選択における費用が減少する」という仮説について、その正当性の検証するための基礎となる調査を実施した.住民合意を必須とする交通対策の社会実験が行われる地区をケーススタディとして、住民意識調査と督促によるサイレント層の意識の捕捉、分析、を実施した。社会実験実施前後のアンケート調査を用いた分析からは,社会実験後のサイレント層は,非サイレント層よりも,実施された対策案に対する許容度が高いことが分かった.また,社会実験前には具体案の提案に対してサイレントであった人で,社会実験後に対策案について意見を述べるようになった人は,対策案に反対意見を述べている傾向があることや,事前に想像し辛い,対策案実施路線の「周辺」への影響から反対意見を述べていることが分かり,このような人々は社会実験によって自身への影響を理解し,サイレント層から非サイレント層に変化した人々であると考えられる.これらの結果から,地区交通計画社会実験が実施された後には,実験前には対策から自分が受ける影響を十分理解できていなかった人の内,悪い影響があると理解した人は自分の意見を表明し,一方で自身への悪影響がないと理解した人がサイレント層になっていると考えられる。社会実験の実施は,適切な意見表明を促し,事業本格実施後の反対意見表明による社会的費用を減少させる可能性が示唆された.
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Research Products
(2 results)