2009 Fiscal Year Annual Research Report
血小板凝集の機能調節に関わる分子のクローニングとその機能解析
Project/Area Number |
09J08544
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
松田 泰幸 National Cardiovascular Center Research Institute, 病因部, 日本学術振興会特別研究員PD
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Keywords | 血小板 / インテグリン |
Research Abstract |
血小板凝集は止血機能を果たしており、生命維持において重要であるが、過剰な凝集は病的な血栓を形成して様々な循環器疾患(脳梗塞、心筋梗塞など)を引き起こす原因にもなる。血小板凝集にはインテグリンα_<Iib>β_3の活性化が関与しているため、本研究ではヒトの活性型インテグリンを発現させたCHO細胞を用いてインテグリンα_<Iib>β_3の活性化メカニズムに関わる新規シグナル分子の探索及び機能解析をおこなった。 初年度である今年度は、新規シグナル分子に変異が導入されたCHO細胞株のクローニングをおこなった。ヒトの活性型インテグリンを発現したCHO細胞に変異導入剤(EMS)を加え、Cell Sorterを用いて非活性型インテグリンを発現するCHO細胞を回収し、限界希釈法によりクローン化した。インテグリンの活性化の指標には、ヒトの活性型インテグリンα_<IIb>β_3を認識するPAC-1抗体を用いた。フローサイトメトリーを用いてクローン化した各細胞のPAC-1結合能を調べ、非活性型インテグリンを発現するCHO細胞のスクリーニングをおこなった。約3000個のスクリーニングをおこなったが、新規シグナル分子の変異のみを原因としてPAC-1結合能が低下する細胞株は得られなかった。PAC-1結合能が低下した細胞株はすべてインテグリン自身に変異が導入されていたため、各変異細胞株(44クローン)に対しそれぞれインテグリンを再導入してインテグリン機能を回復させ、それでもなおPAC-1結合能が低下している細胞のスクリーニングをおこなった。その結果、PAC-1結合能が低下した2種類の変異CHO細胞株を得ることができた。この結果は、インテグリンα_<IIb>β_3の活性化メカニズムに関わる新規シグナル分子の存在を示唆するものである。またこのシグナル分子を同定できれば人為的な血小板凝集制御法の開発に与える知見も大きい。
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Research Products
(2 results)