2009 Fiscal Year Annual Research Report
視細胞の形態が規定する桿体と錐体の特徴的な光生理応答とその分子基盤
Project/Area Number |
09J08564
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白木 知也 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 視細胞 / GRK / ゼブラフィッシュ |
Research Abstract |
脊椎動物は、桿体と錐体という二種類の視細胞をもつ。桿体は感度がより高く、錐体は光応答からの回復がより速いという特徴をもつ。桿体と錐体では、光シグナリング蛋白質のサブタイプや細胞形態(特に外節構造)が異なることが知られている。本研究では、この特徴的な光応答を生み出すメカニズムを解明するため、桿体と錐体におけるGタンパク質共役受容体キナーゼ(GRK)の違い、および細胞形態の違い、にそれぞれ着目した研究をゼブラフィッシュを用いて進めている。1)これまでに、錐体型GRKを桿体に異所発現するトランスジェニック系統(GRK7-Tg)の桿体では、野生型と比較して光感度が約1/8に低下することを見出している。本年度は、この表現型がGRK活性の上昇に由来するかどうか検証した。まず、網膜抽出物中におけるロドプシンのリン酸化活性を測定し、GRK7-Tgにおいてリン酸化活性が上昇することを見出した。次に、GRK7-Tg眼球における光シグナル蛋白質群の量を野生型と比較した。その結果、多くの光シグナル蛋白質の量はほとんど変化していなかったが、トランスデューシンαサブユニット(Gt1α)の発現量が約半分に減少していた。これらの結果から、GRK7-Tg桿体では、Gt1α量の低下により感度が1/2に低下し、GRK活性の上昇によりさらに1/8に低下すると考えられた。2)光受容細胞の細胞形態の形成に関わる分子を同定するため、桿体、錐体および松果体細胞の三種の光受容細胞における遺伝子発現プロファイルを解析する。本年度は、桿体・錐体・松果体細胞特異的に蛍光蛋白質を発現するトランスジェニック系統を出発材料にして、FACSを用いて桿体・錐体・松果体細胞を分取した。それぞれの細胞から抽出したRNAを用いて、各細胞特異的に発現する既知遺伝子に対してRT-PCR解析を行い、目的の細胞が高純度で回収できていることを確認した。
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Research Products
(4 results)