2009 Fiscal Year Annual Research Report
日本におけるアニマルウェルフェア概念導入に関する実証的および理論的検証
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09J08589
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
山崎 彩夏 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アニマルウェルフェア / 糞中コルチゾル / 環境エンリッチメント / オランウータン / ストレス / 霊長類 / 自然観 |
Research Abstract |
近年日本国内において導入が進むアニマルウェルフェア概念と、その具体的手法である環境エンリッチメントであるが、国内の動物園飼育の現場では、その導入初期段階において西欧的動物観を基盤とするこれらの概念や導入に対する懐疑的態度が見受けられ、同概念に対する評価は決して一様ではなかった。このことは、西欧社会を起点とし、その文化的・社会的文脈の中で変容する動物観とともに変化し普及してきたアニマルウェルフェア概念を、文化的背景の異なる日本へ直接導入することの違和感や限界を示唆しており、加えて、より客観的で実践的な飼育動物のwell-beingに関する評価方法の確立が求められている。そこで、本研究は、アニマルウェルフェア概念の日本への導入に関する理論的検討を継続すると同時に、環境変容が動物に与えるストレスの定量化に関する実証的方法の基礎研究として、野生下オランウータンを対象とした行動観察データおよび糞中コルチゾル濃度の分析により、環境変化が糞中コルチゾル濃度とどのような相関を示すかを調査し、飼育下における理論および実践に架橋することを目的とする。研究初年度である2009年度は、マレーシア国サバ州ダナンバレー森林保護区に生息するボルネオオランウータンを対象として、雨季及び乾季に行動観察データの収集、糞サンプルの採取、果実センサス、さらに現地から日本国内へのサンプル輸送に関し予備的実験を実施した。また、日本国内におけるアニマルウェルフェアの現状を把握するための手がかりとして、特に日本固有の自然観および動物観について重点的に検討しながら理論的考察をおこなった。
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Research Products
(4 results)