2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J08593
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
壁谷 典幸 Nagoya University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 強磁性超伝導体 / 臨界現象 / 三重臨界点 / 遍歴強磁性体 / 熱膨張 / 磁気体積効果 / 高圧下実験 |
Research Abstract |
1.圧力不均一による超伝導の指摘 本研究で注目している強磁性超伝導体UGe_2の強磁性相は、分極の弱い強磁性相と強い強磁性相の2つに分かれているという特徴的な性質を示す。そして超伝導はこれら2相の高圧下の境界において最も強く発現する。2つの強磁性相の電子状態は異なると考えられるために、超伝導が2相に跨って存在しているか否かは、強磁性超伝導の理解を進める上で大変重要な事柄である。本研究において、圧力の空間的な不均一に注目した実験から、強い強磁性相において、超伝導が生じる圧力範囲と圧力不均一が同程度であることを見出した。この結果は、超伝導は2相に跨って存在しておらず、圧力不均一によって見かけ上観測されている可能性を示唆する。今後はより詳細な研究を行っていく予定である。 2.三重臨界点の同定 UGe_2の強磁性転移は圧力の増大とともに、2次(連続)転移から1次(不連続)転移へと変化することが示唆されている。しかしながら、転移次数の変化する点(三重臨界点)は発見されていなかった。三重臨界現象は、それ自体が興味ある物理であり、理論的にも実験的にも注目を集めている。本研究における熱膨張測定の結果から、三重臨界点の位置を初めて決定することに成功した。今後は三重臨界点における物理量、特に電気抵抗などの輸送現象の臨界現象の解明と、三重臨界現象と超伝導との関係解明を行う予定である。 3.弱い遍歴強磁性体ZrZn2における熱膨張測定 UGe_2における三重臨界現象が、遍歴電子強磁性体における共通の特徴であるか否かは、今のところ明らかではない。本研究で、UGe_2と同様に三重臨界点の存在が示唆されているZrZn_2において、UGe_2と同様の方法による研究を進めた結果、UGe_2とは異なる振る舞いが見られつつある。今後は三重臨界点の同定と臨界現象の測定を行う予定である。
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Research Products
(6 results)