2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J08593
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
壁谷 典幸 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 遍歴電子強磁性体 / 強磁性超伝導体 / UGe_2 / ZrZn_2 / 圧力下実験 / 臨界現象 / 非フェルミ液体 / Lifshitz転移 |
Research Abstract |
強磁性超伝導体UGe_2においては、強磁性超伝導メカニズムの解明の手がかりとして、強磁性と超伝導の相図上における位置関係を明確にすることを今年度の目的の1つとしてきた。今年度の研究では、圧力媒体の固化を防ぐことで圧力不均一を低減させ、磁場中測定で障害となる半田やマノメータをできる限り除去した上で、強磁性臨界圧力の超伝導発現圧力との位置関係を精緻に決定することを試みた。現時点で、実験は完了してはいないものの、これまでに得られている結果からは、強磁性臨界圧力と局所的に超伝導が強く発現する領域の位置関係が明らかとなりつつある。この実験は、今後も受入研究室で継続される見込みである。また、もう1つの目的であった臨界現象の解明に対しては、これまで蓄積してきた熱膨張及び磁歪の実験結果について再解析を行った。この結果は平成24年度中に発表予定である。 一方、当初は比較研究対象として研究をおこなっていた弱い遍歴電子強磁性体ZrZn2においては、期待以上の興味深い結果が得られた。まず、三重臨界点に伴うメタ磁性転移の量子臨界点を同定し、さらにその量子臨界点から延びるLifshitz転移の存在を指摘した。また、高圧下で報告されていた非フェルミ液体的振る舞いが、広い圧力かつ磁場範囲に広がることを見出した。さらに、この非フェルミ液体的振る舞いは上記のLifshitz転移によって制限された領域にのみ存在することを見出し、その起源として反強磁性的な短距離秩序の発達を提案した。これらの発見は、従来の量子臨界点に伴う非フェルミ液体の考え方とは大きく異なるものであり、今後の展開が期待される。また、強磁性体における多重臨界現象の起源に迫る上でも重要な手がかりとなり得ると期待される。この結果についても平成24年度中に発表予定である。
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Research Products
(4 results)