2011 Fiscal Year Annual Research Report
モバイル空間での利用に適した実世界指向インタフェースに関する研究
Project/Area Number |
09J08596
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石黒 祥生 東京大学, 大学院・情報学環・学際情報学府, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 視線計測 / 複合現実感 / モバイル空間 / 実世界指向インタフェース / ヒューマンコンピュータインタラクション |
Research Abstract |
モバイル空間での利用に適した実世界指向インタフェースを実現するために,第3年目では1,2年目に引き続き,視線情報を日常生活で計測できる装置の実現とそれを利用したインタラクションシステムの研究を行った.具体的には,2年目で試作した計測装置の問題点である光源環境の変化に弱いという点を克服した.具体的には,赤外センサを用いた計測から,カメラを用いた計測に方式を変更し,また装置の簡素化,軽量化を実現することにより,モバイル空間での計測において重要なこれらの問題を解決することができた. さらに視線情報を長時間記録し,その解析やインタラクションでの利用方法について研究を行った.1年目で作成した何を見ていたかを視線情報に基づき判定する画像処理システムを応用し,見たものに関する注釈情報をフィードバックするシステムを作成した.視線を用いるインタラクションシステムで問題になる"ミダスタッチ問題(ただ見ているだけで「選択」されてしまうなど,意図しない動作を引き起こす周題)"を,視線の変化を計測することで解決を図った.利用者が文章を読み始めるとそれを認識し,翻訳した音声でフィードバックするという実世界指向インタフェースを実現した.明示的な指示をすることなくコンピュータによる支援をどこでも受けることができるという,本研究の目的の一部を達成したといえる. また,複合現実感技術を用いたフィードバック手法の提案も行った.歩行や運転,作業中などのモバイル空間では,視界をふさぐような視覚フィードバックは適さないため,人間の視覚特性を利用することで,行動を阻害しないフィードバックの実現を目指した.実際に視覚特性を利用する場合としない場合の比較実験を行ったところ,特性を利用した手法が行動を阻害しにくいという,有意な差が認められた. これらの研究成果により,モバイル空間での利用に適した実世界指向インタフェースの実現に貢献することができたと考えている.
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Research Products
(1 results)