2009 Fiscal Year Annual Research Report
主観的時間と脳神経活動の因果関係解明と、それに主体性や感覚運動統合が与える影響
Project/Area Number |
09J08661
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
箆伊 智充 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 心理的時間 / 感覚運動統合 / 認知科学 |
Research Abstract |
感覚運動統合における心理的時間の研究の多くはタイミングという時間的一点について行われている。しかし、刺激の継続時間も心理的時間を構成する重要な要素であり、主観的な継続時間と感覚運動統合の関係を綿密に調べることは脳の理解に重要である。我々の運動は大まかに二種類に分類することができる。外部刺激に反応して行う運動を刺激に基づく運動、内的に生成される意図に基づくものを意図に基づく運動と呼ぶ。外部から観察すると同じ運動であっても、文脈によってこのように分類できる。先行研究によると、これらの運動に関わる脳部位は異なっている。二つの運動によって心理的時間に違いが見出されれば、これらの脳領域が心理的時間の構成にも関与していることが示唆される。上記のことを確かめるために、継続時間を再現する実験を行った。被験者は、トライアルの最初にある時間幅を持った外部刺激を提示される。その継続時間を覚えておき、スタートシグナルがあったらボタンをその時間分だけ押し続ける。加えて、上で述べた二つの運動の条件が設定された。刺激に基づく運動はスタートシグナルがあったら0.5秒以内にボタンを押す。この場合、運動は反射的になる。意図に基づく運動はそのような拘束がなく、好きなタイミングでボタンを押す。提示された時間幅は1,3,5秒であった。結果は、提示された時間幅が3、5秒の場合、被験者は意図に基づく運動をすると刺激に基づく運動より有意に長くボタンを押し続ける、つまり時間を長く見積もることが分かった。1秒の場合は、二つの運動で有意な差が見られなかった。以上の結果から、3秒以上では、運動の文脈によって心理的時間が異なること、1秒場合はそのような差がないことが分かり、このことは、心理的時間の構成において3秒以上では運動の文脈によって異なる機能が働き、1秒では文脈に関わりなく同じ機能が働いていることを示唆している。
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Research Products
(2 results)