2010 Fiscal Year Annual Research Report
Wavelet変換を用いての超大規模連立一次方程式の前処理の構築
Project/Area Number |
09J08663
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
今倉 暁 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 大規模連立一次方程式 / GMRES(m)法 / リスタート / Look-Back GMRES(m)法 |
Research Abstract |
近年のコンピュータ技術の目覚ましい発展に伴って,超高速計算機の高度利用に基づく"計算科学"は理論・実験に次ぐ第3の科学として広く認知され,様々な科学分野の進歩に必要不可欠なものになっている.また,現実に行われる大規模数値シミュレーションではその計算時間の大部分を大規模連立一次方程式の求解に要するという事実から、特に大規模連立一次方程式を効率的に解くアルゴリズムの開発が切望されている. 私は,現在多くの応用分野で実際に用いられているアルゴリズムであるGMRES(m)法に着目して研究を行っている.これまでに私は,従来"反復の繋ぎ目"としか認識されてこず,改良が行われてこなかったGMRES(m)法の"リスタート"と呼ばれる技法に対する理論的解析を通し,その枠組みの拡張を提案した. 該当年度,私は,その拡張した枠組みの中で,GMRES(m)法の過去の残差多項式を逐次的に再構築するLook-Back戦略に基づくLook-Back GMRES(m)法を提案した.Look-Back GMRES(m)法は反復当たりの演算量を増加させることなく,幅広い問題に対しGMRES(m)法の収束性を大きく改善するという結果が得られた. 提案法は,通常の大規模連立一次方程式のみならず,近年その需要が高まりつつある,シフト連立一次方程式に対しても有効であることが予想されるなど,今後の発展が期待されている.また,今後の研究の発展に伴って,より大規模な数値シミュレーションの実施や計算科学の発展に貢献できることが期待される.
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Research Products
(4 results)