2009 Fiscal Year Annual Research Report
フェーズフィールド法によるミクロ組織の定量化と構造材料の新しい設計指針の提示
Project/Area Number |
09J08669
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
塚田 祐貴 Nagoya University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | フェーズフィールド法 / ニッケル基超合金 / 耐熱鋼 / 高温クリープ / マイクロメカニクス / 相変態 / 核生成理論 |
Research Abstract |
本研究の目的は、高温材料のミクロ組織形成に影響を及ぼす因子、および、ミクロ組織と材料特性の相関をフェーズフィールド法により明らかにすることである。母相(γ相)と析出強化相(γ'相)からなるニッケル基超合金の組織形成過程について、弾性不均一性を考慮した計算プログラムを作成した。本年度は、物質・材料研究機構のTMS合金の弾性定数を用いた解析により、弾性異方性または剛性率の不均一性が高温でのミクロ組織形成に及ぼす影響を検討した。その結果、弾性異方性の違いが立方体状γ'相の安定性、および、γ'相粒子のサイズ分布の幅に影響を与えることが分かった。さらに、その影響は、γ'相の成長を等価円半径の三乗則で記述した場合の粗大化速度定数にも及ぶことが明らかとなった。一方で、剛性率の不均一性がミクロ組織形成に及ぼす影響は小さいことが分かった。他方、Type304オーステナイト系耐熱鋼の高温クリープ変形について、M_<23>C_6炭化物近傍における強磁性相(α相)の析出とクリープ転位量の相関をフェーズフィールド法により検討した。具体的には、炭化物近傍の転位のエネルギーがα相析出の駆動力の一部になるとし、古典的核生成理論を用いてM_<23>C_6炭化物およびα相の核生成・成長過程を再現した。転位の分布関数は、TEM観察による炭化物近傍の転位密度解析結果をもとに決定した。その結果、高温クリープにおける炭化物および強磁性相のモル分率変化の再現に成功した。この結果は、強磁性相の量がクリープ初期から増加し、クリープ後期に飽和するというこれまでの報告と一致するものであった。さらに、クリープ中の転位量を仮想的に変化させた計算により、転位量のわずかな違いが強磁性相の量の経時変化に大きな影響を及ぼすことが分かった。
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Research Products
(6 results)