2010 Fiscal Year Annual Research Report
フェーズフィールド法によるミクロ組織の定量化と構造材料の新しい設計指針の提示
Project/Area Number |
09J08669
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
塚田 祐貴 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | フェーズフィールド法 / ニッケル基超合金 / 高温クリープ / 弾塑性 / 流れ則 / クリープ理論 / ミクロ組織 / ラフト構造 |
Research Abstract |
本研究の目的は、高温構造材料のミクロ組織形成をフェーズフィールド法によって再現し、ミクロ組織と材料特性の相関を検討することである。本年度は、ニッケル基超合金の高温クリープ変形とミクロ組織変化を同時にシミュレートする解析モデルを構築した。さらに、解析結果を既存の実験結果と比較し、構築したモデルの妥当性を検証した。本モデルは、母相(γ)と析出相(γ')により構成される二相ミクロ組織を解析対象としている。γ相中の非弾性ひずみを塑性ひずみとクリープひずみの和にて定義し、ひずみ構成式として、塑性ひずみについて古典的流れ則、クリープひずみについてMises型クリープ理論をそれぞれ適用した。初期組織として中央に四角形状γ'相を配置し、周期境界条件のもと二次元数値解析を行った。γ/γ'間の格子定数ミスフィット、各相の弾性定数、γ相の降伏応力として実用合金CMSX-4の物性値を採用した。その結果、引張応力軸に垂直なγ相へのひずみ集中、応力軸に垂直方向へのγ'相の粗大化が再現された。これら異方的なひずみ導入およびミクロ組織変化は、これまでの実験報告とよく一致していた。また、γ'相の異方性粗大化によりγ/γ'ラメラ構造を形成する際、異相界面近傍にて一時的にひずみ速度が増加する結果が得られた。一方、解析で得られたひずみ速度-時間曲線をCMSX-4の実験結果と比較したところ、遷移クリープ域初期の曲線が定量的に再現されていた。しかし、加速クリープ域のひずみ速度一時間曲線は再現されなかった。今後、ミクロ組織の不均一性を考慮した解析により、クリープ後期におけるγ'相の凝集・粗大化の再現が必要であると考えられる。
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