2011 Fiscal Year Annual Research Report
側根原基形成に際して細胞増殖域の限定化に働くRNA代謝系の解明
Project/Area Number |
09J08676
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大塚 蔵嵩 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 温度感受性 / 呼吸 / 細胞分裂 / シロイヌナズナ / 側根 / 帯化 / ミトコンドリア / RNA分解 |
Research Abstract |
シロイヌナズナの温度感受性突然変異体rrd1、rrd2、rid4が制限温度下で帯化した側根を形成する現象に着目し、その分子遺伝学的解析を進めた。責任遺伝子のRRD1がポリA特異的リボヌクレアーゼ(PARN)様タンパク質、RRD2とRID4がペンタトリコペプチドリピート(PPR)タンパク質をコードしていたことから、これらのタンパク質が協同して何らかのRNA分解に働いている可能性を考え、マイクロアレイ等により、RNA蓄積パターンの解析を行った。 その結果、どの変異体でも、ミトコンドリアのmRNAのうち、とくに呼吸鎖構成因子のmRNAがポリA化された状態で蓄積していることが判明した。また、RRD1とRID4については、主にミトコンドリアに局在していること、側根原基形成時に著しく増大することが明らかとなった。さらに呼吸阻害剤の投与実験から、呼吸抑制条件下で側根形成を誘導すると、帯化した側根が形成されることを見出した。以上の結果とこれまでに行ってきた各変異体の表現型解析の結果を合わせ、側根原基形成時の細胞増殖域限定化の機構に関し、次の仮説を提示した。すなわち、側根原基形成に際しては、非対称分裂を始めた内鞘細胞において、ミトコンドリアのポリA依存的mRNA代謝が高まり、これによって呼吸鎖構成因子の発現の上昇、ひいては呼吸活性の上昇が実現する、そして高い呼吸活性が非対称分裂の停止をもたらし、増殖域を限定する。
|
Research Products
(3 results)