2009 Fiscal Year Annual Research Report
〈日系人〉カテゴリーの生成と動態――現代世界の人類学的研究
Project/Area Number |
09J08689
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
石田 智恵 Ritsumeikan University, 先端総合学術研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 日系人 / カテゴリー / 集団 / 名前 / 南米 |
Research Abstract |
「日系人」という名の使用の歴史が「日系人」という集団をめぐる現実をその集団の名前の使用を通して生みだされ、左右される様相を「日系人」に即して明らかにするという目的に即して、交付申請書に記述した5つの課題は以下のとおり進行された。(1)未収集の資料も残されているが、日本で収集可能な政府機関及びその外郭団体の資料の多くを収集し、それを基に「日系人」の使用状況を年表にまとめる作業に着手している。(2)「海外日系人大会」開催経緯における「日系人」カテゴリーの成立について考察し、研究ノートとして『移民研究年報』に発表した。掲載後、移民学会の複数の会員から同稿を積極的に評価するコメントを得ている。(3)調査予定地に変更はあったものの、サンパウロおよびブエノスアイレスにおける日系社会の現状に関する調査を行ない、とくにブエノスアイレスにおいては世代ごとの呼称と認識の差異、とくに第二世代による"Nisei"(スペイン語)の名の下新たな運動、組織化の動きという重要な論点を取りだした。その一部は『生存学』2号に発表した論文にも言及した。この論点の発展は2010年度以降の課題のひとつとなる。(4)第15回パンアメリカン大会(於:モンテビデオ)に参加した結果、(3)と同じく「日系」という語に対する現在の日系人内での認識の差異、とくに青年層にみられる変化とその背景という論点が抽出された。この点は、大会日程中、南米の各日系社会の現在の中心人物、および青年層のリーダー数人に対して行なった聞き取りから得られた。これらは今後展開すべき議論において重要となる。また2011年に行なわれる第16回にも参加する予定である。(5)以上の成果は「日系人カテゴリーの動態」年表に追加しており、随時更新中である。
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