2009 Fiscal Year Annual Research Report
情報法の一環としての刑事手続き-政府による情報の取得とその利用に対する規制の在り方
Project/Area Number |
09J08737
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
劉 芳伶 The University of Tokyo, 大学院・法学政治学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 情報を対象とする刑事手続き / 総則的なルール / オンライン搜査 / 科学搜索 / 情報令状 / 情報の搜査 / 情報の差押 / 占有剥奪 |
Research Abstract |
(1)具体的内容:本研究は、情報を対象とする刑事手続きの総則的なルールを探求するものである。具体的には、現在独米においては議論が高まっているいわゆる「オンライン搜査」(情報科学技術システムに密かに侵入し、情報を獲得する搜査手法)を考察しつつ、日本における「科学搜査」を巡る諸議論を検討しながら、総則的な立法論を視野に入れた「法益論の再構築」「令状主義の鉄則の再考」「情報令状の在り方」「令状による搜査のあるべき範囲の再考」という博士論文における4つの検討課題を明らかにしようとしている。なお、平成21年度に予定通り、博士論文の大まかな枠組みを構成しようという年度目標を達成しているとともに、その研究成果の一部が、「『情報の差押』という制度の在り方について」という題目にて「法律時報」誌上に掲載されている。同論文は、独米の「オンライン搜査」を巡る諸議論を参考に、無体の情報を差押の対象とする場合は「占有剥奪」を必要としないという独自の仮説を論証したうえで「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」における刑事訴訟法一部改正案をも踏まえて、日本の立法論を視野に入れた議論を展開するものである。 (2)意義・重要性:本研究の主なテーマたるオンライン搜査は、日本はもちろんのこと、欧米諸国でも最近になって議論が活発に行われるようになった新しい問題である。日本では本格的な研究は未だ存在せず、また、このテーマを研究する上で参考とすべき諸外国での議論状況についても、断片的な紹介がなされているのみである。そこで、本研究はオンライン搜査に関する研究の草分けとしての大きな意義をもちつつ、日本における科学搜査の規制に関する革新的展開又は解決が困難とされている諸重要課題の追求に果敢に挑戦している独創性豊かなものであると評価するに値する重要性を有すると思われる。
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Research Products
(1 results)