2010 Fiscal Year Annual Research Report
HCVの新規生活環再現システムの開発とそれを用いた抗HCV剤の評価・探索
Project/Area Number |
09J08756
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
森 京子 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | C型肝炎ウイルス(HCV) / 新しいHCV-RNA複製システム / リバビリン / 抗HCV剤 / ヒト肝癌細胞株Li23細胞 / レプリコン / 作用メカニズム / IMPDH |
Research Abstract |
当該年度は、前年度見出したLi23細胞の特徴付けをするために、cDNAマイクロアレイによる遺伝子発現プロファイルを作成した。他の肝細胞株(HuH-7、HuH-6、PH5CH8等)と比較し、国際誌(Hepatology Research)に投稿して、受理された(Mori K et al., Hep Research, 2010)。 さらに、当該年度は、前年度得られた全長HCV RNA複製細胞アッセイシステム(HuH-7細胞系とLi23細胞系)を用いて抗HCV剤の再評価を行い、本研究の第二の目的を達成した。既存の抗HCV剤(IFN-α,β,γ,リバビリン,Statin類など)について再評価を行い、現在のC型慢性肝炎の治療薬であるリバビリンに対して、Li23細胞由来細胞が血中濃度(約10μM)において高感受性を示すことを見出した。リバビリンの抗HCV活性を示すメカニズムが、イノシン一リン酸脱水素酵素の阻害に起因することを明らかとした。当該年度の結果をまとめて、国際誌(Virus Research)に投稿して、受理された(Mori K et al., Virus Research, 2011, 157:61-70)。これまで世界中で樹立されたHCV RNA複製細胞は「全てHuH-7由来のクローン化細胞」であり、発表された研究成果がHCV生活環の本来の姿を反映していない可能性があり、本研究を発案した。当該年度は、新たに見出された肝癌細胞株Li23由来のHCV RNA複製細胞と従来使用されてきたHuH-7細胞系を比較することにより、現在、臨床で使用されているリバビリンの作用機序を解明することに成功した。この成果は、現在の治療の改善にも大きく貢献でき、世界のHCV研究者へ「一種類の細胞のみを使用する危険性」を提示できたことは、HCV研究においてとても意義のある成果である。
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