2011 Fiscal Year Annual Research Report
中心体タンパク質Kizunaによる分裂期中心体の安定化機構の解明
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09J08795
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
家村 顕自 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 染色体整列 / 動原体 / 紡錘体 / plk1 / 分裂期 |
Research Abstract |
Plk1は分裂期に機能するキナーゼとして知られており、多くの癌細胞で高発現していることから、分裂期進行阻害を標的とした新たな抗がん剤のターゲットとして期待されている、しかし同定されている基質は少なく、Plk1による分裂期進行制御機構は未解明な部分が多い。 本年度は、Kizunaと同様にPlk1基質候補分子として同定し、これまでの研究によって動原体-微小管結合修正糧に関与することが示唆されたPSX15のより詳細な機能解析を進めた。PSX15発現抑制細胞において様々なキネトコア局在分子を観察した結果、分裂期チェックポイント分子であるBubR1が不整列な染色体における姉妹キネトコアの片側にのみ局在している割合が増加していた。次に、Aurora Bによるキネトコア分子のリン酸化状態と、Aurora B-キネトコア間距離を測定したところ、不整列な染色体における外側のキネトコアに位置する分子に対するリン酸化活性は低く、AuroraB-キネトコア距離も離れていた。また、興味深いことに、PSX15発現抑制と共に染色体腕部を極から離す役割を担うKidを発現抑制すると、PSX15発現抑制細胞で見られた不整列な染色体の表現型が回復した。以上の結果から、PSX15発現抑制細胞は染色体を極へ引く力もしくは極から離す力この2つの力のバランスが崩れることで、キネトコアに過剰な張力を生み出しAurora B-キネトコア距離が離れた結果、キネトコアに対するAurora Bのキナーゼ活性が低下することで動原体-微小管結合が安定化する可能性が考えられた。分子機構に不明瞭な点が多いシンテリック結合修正に関与する新たな分子を発見できた本成果は、今後、Plk1による新たな分裂期制御機構を提唱できると共に、シンテリック結合修正における分子基盤の解明や新規分子を標的とした抗がん剤への応用も期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の一つである新規Plk1基質候補分子の解析は動原体-微小管結合修正に関わるPSX15を同定することで、おおむね達成できたと考えている。また、分裂期中心体の安定化機構に関わる新規分子に関しても、PSX15発現抑制細胞において染色体整列異常と共に分裂期中心体の断片化が観察されており、PSX15を介した分裂期中心体の安定化機構について解析を進めている。Kizunaノックアウトマウスの作出については、他グループによって報告がなされたが、Kizunaと結合し分裂期中心体の安定化に寄与するCep72のノックアウトマウスの作出を試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画の一つであるKizunaノックアウトマウスの作出は他グループによって作出され、機能解析がなされた。このため、Kizuna結合タンパク質として同定していたCep72ノックアウトマウスの作出に取り組んでいる。既にキメラマウスを取得しており、今後解析を進める予定である。
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Research Products
(2 results)