2009 Fiscal Year Annual Research Report
仏教写本に基づく「タイ及びその周辺地域のパーリ語」研究
Project/Area Number |
09J08799
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 聡子 Nagoya University, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 東南アジア仏教学 / パーリ語 |
Research Abstract |
本研究は、タイ及びその周辺に伝わる正典外仏典の写本に基づき、「タイとその周辺地域のパーリ語」がどのような特徴を有する言語であるのかを明らかにするものであるが、本研究を遂行するには既に入手された資料だけでは不十分である。そこで、積極的にフィールドワークを実施し、写本資料を収集した上で、他の南伝仏教国に伝わる三蔵とを比較研究しなければならない。本年度はその第一段階として研究対象である写本の所蔵がカタログに報告されていたデンマーク王立図書館及び大英図書館においてフィールドワークを実施。デンマーク王立図書館において『プラ・マーライ』写本2本、その他蔵外仏典写本8本、大英図書館において『プラ・マーライ』写本12本を調査した。保存状態のよい『プラ・マーライ』写本に関してはパーリ三蔵抄録の箇所をローマナイズし、その他蔵外仏典写本に関してはカタログ情報を確認し、詳細を付け加え、資料を収集した。既に収集していた写本資料に本調査によるデータを加え、『プラ・マーライ』写本にあるパーリ三蔵の抄録とスリランカのパーリ三蔵に基づいたPali Text Societyの刊本、さらにミャンマーのパーリ三蔵データベース(Cha□□asa□gayana)間に見られるパーリ語の差異を抽出し、正典であるパーリ三蔵における「タイのパーリ語」の特徴を導き、1936年にMartiniによってなされたインドシナパーリの分析と対照した。 また、スリランカの仏教説話から発展したと考えられる「プラ・マーライ」文献は、タイにおいて地域や社会層に応じて様々なヴァージョンが語り継がれている。その物語の中でもマーライ尊者の地獄巡りの記述に着目し、そこに現れる引用文に基づき、それら様々な「プラ・マーライ」文献がどのような順序で成立してきたのかを考察し、発表した。
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Research Products
(4 results)