2009 Fiscal Year Annual Research Report
局部銀河群における矮小銀河の恒星種族および星形成史の包括的解明
Project/Area Number |
09J08816
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡本 桜子 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 近傍銀河 / 恒星種族 / 可視光撮像 |
Research Abstract |
初年度にあたる平成21年度においては、本研究の主目的の1つである「銀河系周辺の様々な性質の矮小銀河の広視野撮像観測から、各銀河内の領域毎の過去の星形成史を導く」ことを達成した. これまでに撮像した銀河系近傍の8つの矮小銀河と校正用データの解析を進め、その結果を博士論文として所属大学に提出して受理された。具体的には、すばる望遠鏡の主焦点カメラを用いて、銀河系近傍の矮小銀河について広く深い撮像観測を行い、明るい赤色巨星から暗い主系列星まで銀河内の個々の恒星の色と等級の情報を得た。観測した8つは銀河系近傍で知られている矮小銀河のうち、MV=-8.7より暗い全ての矮小銀河であり、さらに最初の6つは近年発見されたばかりの非常に暗い矮小銀河(UFD)で、詳しい恒星種族の研究が待たれていた天体である。それぞれの銀河について、恒星の色-等級図上の分布と恒星進化の理論モデル、および銀河系球状星団との比較から、それぞれの銀河までの距離,平均年齢と空間構造を調べた。その結果、比較的明るいCVn IとDracoでは複数の世代の恒星種族が存在して、平均年齢は126億年であること、一方それよりも暗い4つの銀河は宇宙年齢程度の平均年齢(135億年)であり、そのうちのBootes Iは単一種族で構成されていることを明らかにした。複数種族を持つCVn IとDracoでは、若い/金属量の多い種族が銀河の中心に集中し、古い/金属量の低い種族の方が空間的に広がって分布していることを確認した。この結果より、明るい矮小銀河の方が複数種族を持ち、暗い矮小銀河は星形成期間の短い単一種族で構成されているという、光度-種族関係を明らかにした。また銀河系から遠く孤立したUFDであるLeo Tは、古い恒星種族とともに若い世代(およそ2000万年)の星も見られ、銀河系周辺のUFDとは異なる星形成史を明らかにした。
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Research Products
(3 results)