2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J08823
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
森田 智人 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | トロピカル多様体 / 変形理論 / 交点理論 / ヒルベルトスキーム / 特異点 |
Research Abstract |
トロピカル多様体の変形理論と、トロピカル多様体を重み付きセル複体として扱う方法についての研究を行った。変形理論について以下の研究を行った。 1.変形族を考えるために必須となるヒルベルトスキームのトロピカル版の定義を作成した。 以前の定義では、余次元2以上の多様体の族については不完全であった。情報収集の結果、関連した研究の論文に問題を解決する手掛かりを見つけたため、定義の修正を行った。 2.超平面の場合の特異点の定義を与え、非特異なものに大域的に変形できるための十分条件を与えた。この定義はトロピカル平面曲線の場合に存在した定義の拡張である。この定義と1の定義を用いて、組み合わせ論的な情報から非特異なトロピカル多様体に変形できるための十分条件を与えた。 トロピカル多様体を重み付きセル複体として扱うことで、組み合わせ論的な条件を応用できることに気付いたため、以下の2点の研究を行った。 3.トロピカル多様体の重み付きセル複体としての定義を与えた。 トロピカル曲線について存在した重み付きグラフとしての定義を、一般のトロピカル多様体に拡張した定義を与えた。また、代数多様体をトロピカル化した時に自然に与えられるべき重みの与え方も定義し、一般的なトロピカル多様体についてはwell-definedであることを示した。 4.バランス条件や交点理論を統一的に扱える代数構造を発見した。 3を研究する過程において、今までは条件毎に個々に与えられていたトロピカル多様体のバランス条件を統一的に扱うことのできる代数構造を持った環を発見した。この環上での演算が従来のバランス条件に相当するものとなっており、さらに積は平面曲線の場合には与えられていた交点数を表すものとして見なせることもわかった。 本年度は基礎的な定義の作成が主だったため、論文執筆や学会発表は行っていない。
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