2010 Fiscal Year Annual Research Report
平和構築における警察活動と社会秩序についての研究―アフリカ諸国の警察支援を事例に
Project/Area Number |
09J08830
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
古澤 嘉朗 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 平和構築 / 警察改革支援 / 治安部門改革 / アフリカ / 警察改革 |
Research Abstract |
平成22年度の本研究では平成21年度に収集した情報に加えて、初夏にシエラレオネとケニアで実地調査を行い、それらの情報を基に考察を深め、その成果をアウトプットすることに専念した。第1に、ケニアの警察改革(支援)に関する口頭報告をアフリカ学会で行った。それに修正を加えたものが『国際協力研究誌』に掲載された査読付論文である。第2に、シエラレオネの警察改革(支援)についての口頭報告を日本平和学会で行った。それに修正を加えたものが昭和堂から公刊された『アフリカの紛争解決と平和構築:シエラレオネの経験から』に所収された「第9章:警察改革支援-1998~2005年」である。以上の成果は主にシエラレオネとケニアにおける警察改革(支援)に関する情報を整理したものである。これらの情報を基に、本研究の独自の視点を織り込み行った報告がデンマーク国際問題研究所(DIIS)主催のシンポジウムと国際関係学会(ISA)の年次大会で行った2つの口頭報告である。この2つの報告を通して指摘したことは、平和構築支援において警察機構を支援することは自明視される傾向が強いが、本研究で扱うシエラレオネやケニアをはじめとする脱植民地化を経た新興独立諸国においては、政府による警察活動(主に警察)と非国家主体による警察活動が混在しているということであった。言い換えると、各国の警察の歴史を紐解くと、平和構築が依拠することが多い「ある一定の領域内部で、正当な物理的暴力行使の独占」という国家像が過去にも存在していなかったことがみえてくる(地理的に濃淡が存在するということ)。そして、このような状況下において警察改革を画一的に行うことは政治的な意味合いを有することもあるということを指摘した。そして、警察改革を画一的に行うのではなく、より社会的文脈に配慮した形の警察改革が求められていることを確認した。
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Research Products
(7 results)