2009 Fiscal Year Annual Research Report
バイオフィルム形成初期におけるcurli繊毛発現機構の研究
Project/Area Number |
09J08850
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
小笠原 寛 Hosei University, 生命科学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | バイオフィルム / 大腸菌 / 転写因子 / 蛋白-蛋白相互作用 / Curli繊毛 / CsgD / 多因子複合体 / RNA polymerase |
Research Abstract |
本年度は、(1)csgDプロモーターにおける転写因子間相互作用の解析、(2)csgD転写調節に関与する転写因子がRNAポリメラーゼ活性に与える影響、(3)ゲノム上のCsgD特異的結合領域の網羅的探索について研究を実施した。 (1)について、大腸菌csgDプロモーターにおける転写因子OmpR,CpxR,RstA,H-NS,IHFの結合部位を同定し、結合部位の重複する転写因子間の相互作用を明らかにし、これら転写因子間の相互作用がcsgD発現に与える影響について評価した。その中で、(1)IHFとH-NS、(2)CpxRとH-NSの相互作用が関与するcsgD発現調節機構を新たに見出し、現在、他の調節因子RcsB,MlrA,Crl,CRPも含め、複合的なcsgD発現制御機構について解析中である。 (2)について、RNA polymerase(Eo^<70>)の結合領域を明らかにし、中でもCpxR、OmpR、RstA、IHF、H-NSがそれぞれRNAポリメラーゼのcsgDプロモーターに対する結合、開鎖複合体形成、およびRNA鎖伸長反応に与える影響について評価している。これら解析は、csgD発現における複合的な転写活性化機構の解明にとって重要であり、現在までに新たな知見が得られつつある。 (3)については、CsgD抗体を用いたChIP-chip解析を行い、ゲノム上の複数のCsgD結合領域を推定できた。DNase I footprinting法により、実際に8領域についてCsgD結合部位を同定し、共通配列を見出した。標的領域付近の遺伝子群の転写活性を野性株およびCsgD欠損株で調べた結果、幾つかの遺伝子について、CsgD依存的な遺伝子発現活性化および抑制化が観察された。これらの結果より、CsgDの多岐にわたる遺伝子発現調節が新たに示唆された。
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Research Products
(4 results)