2009 Fiscal Year Annual Research Report
プリオンタンパク質の金属結合領域による活性酸素種生成メカニズムの解明と工学的利用
Project/Area Number |
09J08854
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
陽川 憲 The University of Kitakyushu, 国際環境工学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | プリオンタンパク質 / 活性酸素 / 銅イオン / 化学発光 / CLA |
Research Abstract |
ヒトプリオン内の銅結合部位として報告されている4つの配列に基づいて活性酸素生成触媒能についての実験を行った。それぞれの銅結合部位が異なる触媒活性を示し、またこの触媒反応の基質となる分子種との相互作用様式もペプチドの配列に基づいて変化することの示唆が得られた。銅結合型プリオンタンパク質によるスーパーオキシド生成反応に用いられる基質について調査をした。触媒反応において優れた基質となりうる化学種を、生体内に見出される分子(アミン類、アミノ酸等)を軸として探索した。その結果、特定のアミノ酸が銅結合プリオンペプチドによるスーパーオキシド生成触媒の優れた基質になりうること、またそのアミノ酸が配列中に含まれたペプチドも同様に基質として作用しうることを明らかにした。前述のヒトプリオン由来銅結合部位の有するレドックス活性を示すペプチドに加えて、種を超えてニワトリ由来のプリオンタンパク質配列中のヘキサリピートと呼ばれる銅結合領域の繰り返し配列や、植物由来のオゾン誘導性銅結合領域が反復したタンパク質において同様のレドックス活性を有することを確認することが出来た。実施にあたっては、ニワトリプリオンもしくは植物由来オゾン由来ペプチドのリピート領域由来のペプチドをそれぞれ合成し、化学発光プローブを用いてスーパーオキシド生成能を解析した。ヒトプリオン由来の金属結合配列をモチーフとして出発し、ペルオキシダーゼ様スーパーオキシド生成活性を有する世界最小の人工酵素を創製し、特許を取得した。更に、カタラーゼ様反応活性、ラジカル中間体生成触媒活性といったより多様なレドックス活性を有するペプチド、金属原子、基質分子等の組み合わせについて一定の知見が得られている。
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Research Products
(6 results)