2009 Fiscal Year Annual Research Report
アデノ随伴ウイルスベクターを用いた抗体発現型アルツハイマー病治療法の開発
Project/Area Number |
09J08855
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
阿部 晋也 Tokyo Medical and Dental University, 医歯学総合研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | アルツハイマー病 / 遺伝子治療 / アデノ随伴ウイルスベクター / 抗体療法 / アミロイドβ |
Research Abstract |
本研究では、アルツハイマー病(AD)の予防、治療を目的とした、抗体発現型組み替えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを作製し、その治療効果を評価することを目的に研究を行った。 まず、ハイブリドーマより抗体遺伝子を単離し抗体発現型AAVを作成した。このAAVベクターから抗体が産生されるか検討するため、AAVベクターをHEK293細胞に感染させ、Western blot法により抗体を検出した。その結果、細胞内での抗体の発現と細胞外への分泌を確認した。さらに、この抗体は不溶性Aβ、可溶性Aβの両方に結合可能であることが明らかになった。 次に、マウス生体内で抗Aβ抗体を発現出来るか検討した。組換えAAVをマウスへ筋肉内にそれぞれ単回投与し、血清中のAβ特異的な抗体を定量した。その結果、筋肉内投与では血清中の抗Aβ抗体は徐々に増加し、4~8週で最も高濃度となった。さらに、投与後64週でも高い抗Aβ抗体量を維持していた。抗原を投与するワクチン療法では、生体内で免疫細胞を活性化し抗体産生を誘導する必要があるため、個体差によって抗体産生を誘導しづらいことがある。よって、抗原を投与するワクチン療法よりもAAVベクターを用いた方が、抗Aβ抗体濃度のコントロールをしやすく、免疫反応を起こすことなく有効な抗体を誘導できるため、これまでペプチド療法において起こっていた副作用もないと考えられる。 また、治療実験として、老人斑が蓄積している10ヶ月齢のモデルマウスへ組換えAAVを投与した。組換えAAV投与12週後で、脳ホモジネートより脳内の可溶性Aβの定量を行った。その結果、脳内の可溶性Aβは減少している傾向に見られた。さらに、老人斑の検出を行い、治療群においては非治療群に比べて老人班の量が減少する傾向がみられた。 以上の事よりAAVベクターを用いたアルツハイマー病治療は有効な治療法となる事が期待された。今後、マウスの行動実験などの詳細な治療効果を判定することにより、新たなAD治療法の確立を目指す。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Partial protection against SIV challenge by vaccination of adenovirus and MVA vectors in rhesus monkeys.2010
Author(s)
Wang HB, Kondo A, Yoshida A, Yoshizaki S, Abe S, Bao LL, Mizuki N, Ichino M, Klinman D, Okuda K, Shimada M
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Journal Title
Gene Therapy 17
Pages: 4-13
Peer Reviewed
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