2009 Fiscal Year Annual Research Report
分子レベル制御による微生物膜タンパク質の生体電子移動過程高速化の研究
Project/Area Number |
09J08864
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡本 章玄 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Cytochrome / Shewanella / Electrochemistry / Cyclic Voltammetry / Iron-reducing bacteria |
Research Abstract |
申請者は、今年度の研究において最近微生物燃料電池の分野で盛んに研究されているモデル微生物である鉄還元微生物Shewanellaを用いて、微生物と電極界面における電子移動反応の動力学を分子レベルで検討した。その結果、これまで長年に渡り直接的な証明がなされていなかったShewanella細胞の酸化還元波という電気シグナルの帰属に世界で初めて成功し、その成果を世界的な学術雑誌であるChemBioChemに報告した。具体的な内容としては、まず計画書に書いたようにShewanella細胞内中でも細胞外内膜に存在するシトクロムの吸収スペクトルだけを観測するシステムを用いて、細胞膜シトクロムの活性中心であるヘム鉄と酸素、ならびに一酸化炭素との反応を直接的に分光追跡した。ここで、一酸化炭素とシトクロムが反応すると酸化還元電位は大きく安定化するので、反応後の細胞膜シトクロムを電気化学的に評価してやると、観測していた酸化還元波が一酸化炭素との反応に伴い、期待した酸化還元電位の安定化を示した。以上の結果は、酸化還元波が細胞膜シトクロムに帰属されることを直接的に示す初めて結果となる。さらに、我々は培養条件を工夫することで微生物が一層から二層程度の厚さで電極に張り付いた電極を作成し、その時の酸化還元波を解析した。その結果、これまでわかっていなかった生細胞における電子移動過程の動力学や細胞表面におけるシトクロムの表面被覆率を明らかにすることに成功した。また、以上の成果に基づいて、現在までに研究が大きく進展している。生細胞を用いてシトクロム電子移動過程の温度依存性を検討したところ、5Kという非常に小さい温度変化によって電子移動速度が急速に上昇するという現象を発見した。さらにこのような電子移動速度の加速現象は、9個ある細胞膜シトクロムのうちの一つを遺伝子破壊した際には全く観測されなかった。このことは、細胞膜に存在するシトクロム群が協同的に電子移動機能を発現していることを示す初めての結果であり、燃料電池の実働を考える際に重要な温度条件における知見として重要であるため、現在マイクロアレーなどの分子生物学低手法を用いてより詳細に検討を行っている。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Ryuhei Nakamura, Akihiro Okamoto, Nozomi Tajima, Greg J. Newton, Fumiyoshi Kai, Toshihiro Takashima, and Kazuhito Hashimoto2010
Author(s)
Ryuhei Nakamura, Akihiro Okamoto, Nozomi Tajima, Greg J., Newton, Fumiyoshi Kai, Toshihiro Takashima, Kazuhito Hashimoto
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Journal Title
ChemBioChem 11
Pages: 643-645
Peer Reviewed
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[Presentation] 2nd HOPE meeting2009
Author(s)
Akihiro Okamoto, Ryuhei Nakamura, Kazuhito Hashimoto
Organizer
Electrochemical identification and Kinetics of In vivo Extracellular Electron Transfer in Shewanella loihica PV-4
Place of Presentation
神奈川県箱根市
Year and Date
2009-09-28
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