2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規シアノファージ溶菌酵素の機能解析とそのアオコ防除技術への応用へ向けた基礎研究
Project/Area Number |
09J08877
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
細田 直彦 公立大学法人 福井県立大学, 生物資源学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アオコ / Microcystis aeruginosa / シアノファージ / 溶菌酵素 |
Research Abstract |
アオコと呼ばれるラン藻類の大量発生の構成種として代表的なミクロキスティスは、ミクロシスチンという肝臓毒を産生する株が存在する。これまでに申請者らは、有毒ミクロキスティスに感染するシアノファージMa-LMMO1の分離に成功し、全ゲノム配列を決定している。本研究では、シアノファージをアオコ防除のための有用遺伝子資源として捉え、Ma-LMMO1ゲノム上の2つの溶菌関連遺伝子(ORF69、ORF95)の性状解析を行い、アオコ防除法の確立へ向けた基礎的知見の蓄積を行うことを目的とした。 本年度研究課題は、1、「リゾチーム/ペプチダーゼM23の2つのドメインから構成されるORF95の性状解析」ならびに、2、「ファミリー19キチナーゼと推定されるORF69の性状解析」に設定した。その結果、以下の成果を得た。 (1)リゾチームとラン藻由来ペプチダーゼM23の2つのドメインから構成されるORF95の大腸菌を用いたタンパク質発現系を構築し、最適発現条件および完全精製条件を決定した。完全精製したORF95を用いてリゾチーム活性を測定した結果、pH7.0-8.0の範囲においてペプチドグリカン加水分解活性およびグリコールキチン加水分解活性を示すことが明らかとなった。さらに、低融点アガロースに細菌を包埋し、酵素をスポット添加するライソプレートアッセイを用いてラン藻に対する溶菌活性の検出を試みたところ、プラーク(透明斑)が形成された。 (2)これまでにMa-LMMO1のコードするORF69がリゾチーム活性・キチナーゼ活性を有すること、および基質の認識に関する残基(G209,1213)を部位特異的変異によって明らかにしてきた。本研究の成果を国際学会にて発表した。さらに、成果をまとめた論文を学術誌に投稿し受理された。
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Research Products
(3 results)