2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J08896
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
井上 壮志 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 電気双極子モーメント / 核スピンメーザー / 光ポンピング / 標準理論 / 超対称性模型 |
Research Abstract |
能動帰還機構に基づく核スピンメーザーを希ガス元素^<129>Xeの永久電気双極子モーメント(EDM)の探索へ適用するための開発を進めた。EDM探索のために、^<129>Xe原子核のスピン歳差周波数が静電場を印加することによりシフトすることを測定する。そのためメーザーの周波数決定精度は極めて重要である。この周波数精度にキセノン原子核のスピン偏極度が、重要であることが以下の実験を通じて判明した。キセノン原子核スピン偏極は光ポンピング法によって偏極されるルビジウム原子とのスピン交換相互作用を通じて達成される。光ポンピング法のためのポンピングレーザーとして、ファイバー結合型半導体レーザーを導入した。ファイバー結合型レーザーは、従来用いてきたアレイ型レーザーと比較して^<129>Xeガスサンプルにレーザー光を一様に照射できる一方、単位面積当たりの強度は減少した。ファイバー型レーザーを用いてメーザー発振を行ったところ、メーザーの振幅変動がアレイ型レーザーを用いた場合と比較して、およそ4倍悪化した。これに伴い周波数の時間変動も4倍悪化し、振幅変動と周波数変動の間に相関がみられた。 更にルビジウム原子を高偏極させるために必要なポンピングレーザー強度を測定した。上記の2つのレーザーは強度が高い半面、周波数幅がルビジウム原子の吸収線幅に比べて500倍ほど広がっている。そこで、線幅狭窄化されたチタンサファイアレーザーを用いて、レーザー誘起蛍光を測定することにより、ルビジウム原子の偏極度を測定した。この測定結果より、ルビジウム原子を95%以上偏極させるためには10MHzの線幅のレーザーで40mW以上の強度が必要であることがわかった。 以上の結果をふまえて、ポンピングレーザーとして波長の時間変動が小さい線幅狭窄化高出力分布帰還型レーザーを導入した。現在、本狭窄化レーザーでのメーザー発振にむけて準備中である。
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Research Products
(8 results)